「はだの浮世絵ギャラリー」では、秦野市が寄贈を受けた浮世絵1,904点を順次、展示しています。

より多くの皆様に、この浮世絵という貴重な文化芸術資源を知っていただくため、「はだの浮世絵コレクション」と題して、浮世絵作品紹介をしています。

企画展「歌川国芳 木曽街道六十九次之内」開催中

「東海道五拾三次之内 藤枝(ふじえだ) 人馬継立(じんば・つぎたて)」歌川広重(うたがわ ひろしげ)

東海道五拾三次之内 荷物を運ぶ人物やウ前の絵が描かれています。

解説

歌川広重の『東海道五拾三次之内』は、江戸日本橋から京都までの宿場を描いた作品です。53の宿場と始点の日本橋、終点の京都三条大橋を合わせて、55枚となっています。

藤枝は23番目の宿場で、「人馬継立」とは荷物を運ぶ人足や馬の交代のことです。画面右上の問屋場の役人は、荷物の引き継ぎ作業の様子を見守っています。

宣伝でしょうか。人足が汗を拭いたり一服したりする様子とともに、馬が版元の「竹内」の文字が見える腹掛けをしたり、荷物には版元の「保永堂」の名札が見えます。

馬の足には人間と同じように草鞋(わらじ)をはかせていて、身近な存在であったことがうかがえます。

 

「木曽街道六十九次之内 京都 鵺(ぬえ)大尾(だいび)」歌川国芳(うたがわ くによし)

 

 

木曽街道六十九次之内 京都 鵺(ぬえ)大尾(だいび)

 

解説

『平家物語』にも登場する源頼政の鵺退治の逸話を基に描かれたこの作品は、『木曽街道六十九次之内』の京都・大尾(だいび)、つまり終点です。

平安時代、紫宸殿(ししんでん)に毎晩暗い雲が覆いかぶさり、おびえた天皇の命を受けて頼政が矢を放ち、空中にひそむ怪物・鵺を退治しました。その頭は猿、胴体は狸、尾は蛇、手足は虎の姿で、「大きな尾っぽ」と「大尾」をかけています。

鵺の足元下で矢を放つ人物は、画面いっぱいに配した鵺にくらべはるかに小さく、大胆な構図となっています。

「通俗三国志之内 孔明六擒孟獲(つうぞくさんごくしのうち こうめいむたびもうかくをとりこにす」歌川国芳(うたがわ くによし)

通俗三国志之内 孔明六擒孟獲(つうぞくさんごくしのうち  こうめいむたびもうかくをとりこにす)

解説

  『三国志』は、今から約1800年前の中国大陸で、魏・呉・蜀の三国それぞれの歴史を陳寿(晋時代の人)が編さんした歴史書です。

  江戸では、『三国志演義』を湖南文山(こなんぶんざん)が訳した『通俗三国志』が、知識人の間で読まれ、やがて『絵本通俗三国志』が刊行されると庶民まで広がり、浮世絵にも多く描かれました。

  画面の中央で馬に乗りながら二人の武将を相手に戦っている女性は、南蛮の王・孟獲(もうかく)の夫人・祝融(しゅくゆう)です。諸葛亮(しょかつりょう)は、孟獲を七回捕らえ七回放すことを繰り返し、ついには心から従わせました。

  歌川国芳は西洋の油彩画も学んでいたので、馬の陰影や婦人の衣服などの表現に、その手法が生かされています。

「山海愛度図会(さんかいめでたいずえ)二 平戸 鯨 早く見たい」歌川国芳 (うたがわ くによし)

山海愛度図会 鯨

解説

「武者絵の国芳」として江戸っ子に愛された歌川国芳も、健康的で飾らない日常のいろいろな表情をした美人画を描いています。

  「山海愛度図会」は、タイトルを「~たい」という語尾で統一したもので、この作品の背景のコマ絵は、平戸の鯨漁の様子です。コマ絵とは、浮世絵の画中上部の枠内に描かれた小さい絵のことで、絵画の内容の理解を助け、補助する意図ではめ込まれているものです。このシリーズのコマ絵は、国芳の二人の娘よし、とりや弟子が手掛けていますが、この作品の平戸の海の風景には、長女「よしとり画」と記されています。

 

「木曽街道六十九次之内 蕨 犬山道節」歌川国芳(うたがわ くによし)

 

解説

「木曽街道六十九次之内」は、歌川国芳が56歳頃に手掛けた作品です。

五街道の出発点・日本橋から、木曽街道の69の宿場と終点・京都に目録を合わせて72枚のシリーズになっています。

蕨(わらび)宿は板橋の次の宿で、中心で火の行を行っているのが『南総里見八犬伝』に登場する八犬士の一人・犬山道節(いぬやまどうせつ)です。

道節は「火遁の術(かとんのじゅつ)」使って逃走しようとしています。「ワラ」に火がついたから「わらび」という語呂合わせが面白い発想です。外題(題名のこと)の周りを囲んでいる子犬の姿がかわいらしく、ユーモア溢れる国芳ならではの魅力の詰まった作品です。  

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