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2024年1月~

問い合わせ番号:17037-2835-8765 更新日:2024年4月1日

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 「宮永岳彦記念美術館」では、宮永作品を順次、展示しています。

 より多くの皆様に、この貴重な文化芸術資源を知っていただくため、「Miyanagaコレクション」と題して、「広報はだの」とともに宮永作品の紹介をしています。

『讃(絶筆)』

『讃(絶筆)』

解説

 晩年の豪華絢爛な衣装の美人画から一転、かわいらしいレースのついた服を着る女性。画面中央に宮永が一番好きな色、エメラルドグリーンの耳飾りが輝き、どこか遠くを見つめるようなまなざしが印象的です。ふわふわとした髪の描写や大胆に描いているのに繊細に見える襟や袖の様子に宮永の美人画の技法の特徴が見られます。

 第29回二紀会委員秀作展に出品するためにこの作品を描き上げ、再入院した宮永はわずか19日後に68歳の生涯を終えました。「結局、本質は変わらない。若い頃描こうとしていた世界をまた描いている」という言葉を残しています。

 戦後、絵筆一本で自分の感性を磨き、表現し続けた宮永岳彦が最後に何を思ってこの絵を描いたのか。平成の時代まで宮永が長命であったらどんな作品が残せたのか。激動の昭和とともに駆け抜けるように生涯を終えた宮永の人生に思いを巡らす作品となっています。

         ※ 広報はだの令和6年4月1日号掲載予定でしたが、紙面都合上、見送りました。

人物

人物

解説

 クロッキーはフランス語で速写の意味で、対象を素早く描画すること、またはそうして描かれた絵そのものを指します。短時間で人体や動物など動きのあるものを的確に捉えるための訓練として行われます。

 

 宮永の描くクロッキーは、モデルの持つ雰囲気までも画面に映し出していて、彼女の視線の先の景色が見えてくるようです。補助線をとらなくてもアウトラインだけで一気に形が決まっているのは、沢山の習作を経て得た技術の確かさを物語っています。宮永のクロッキーは完成された作品としての魅力を持っているのです。

 

 このクロッキーは「宮永岳彦絵画教室」で描いたもので、教えている生徒たちの横で描いていたそうです。作品が出来上がっていく過程を間近で見ることは、生徒たちにとって貴重な体験であり、自らの画力を伸ばす糧となったに違いありません。

 

 一本の線にこだわり続けた宮永の情熱がより一層感じられるのではないかと思います。

※ 広報はだの令和6年3月1日号掲載予定でしたが、紙面都合上、見送りました。

翔<ボッティチェルリ「プリマヴェラ」想>

翔〈ボッティチェルリ「プリマヴェラ」想〉

解説

 ヨーロッパの美術館でボッティチェリやベラスケスらの作品にインスパイアされた宮永。そこでルネッサンス期の名作を宮永流にアレンジし、現代に蘇らせようと考え、巨匠への想いと賛美を捧げた連作に挑みました。

 

 1970年代の多くの作品が一人静かに座る女性なのに対し、「回想のルネサンスシリーズ」といわれるこの作品では、女性群像の躍動する美しさが表現されています。薄衣を纏い、艶やかに舞う女性たち。衣から透けて見える肌や、軽やかになびく衣の繊細な質感。いずれも宮永の卓越した筆遣いが際立っています。さらに構図やポージングは自由になり、華やかさを増してドラマチックなものへと展開していきました。

 


 うららかな春の陽射しを浴びた優美な女性たちは、さながら楽園にいるようで心安らぎます。この機会に壮大なスケールの作品を心ゆくまでご堪能ください。

※ 広報はだの令和6年2月1日号掲載予定でしたが、紙面都合上、見送りました。

佐野洋『見習い天使』(新潮社)装幀

佐野洋『見習い天使』(新潮社)装幀

解説

 「光と影の華麗なる世界」と称される美しい油彩画で知られた宮永ですが、商業デザイナーとしても活躍していました。その一端である挿絵や装幀原画などの作品も数多く残しています。当時軽視されがちだったこれらの分野ですが、宮永は「挿絵には挿絵の美学がある」と画家としての強い意志をもって制作にあたりました。多彩な作風によって物語の世界観や時代の息吹を表現し、挿絵や装幀を単なる添え物ではなく絵画作品として昇華させ、結果的に挿絵というジャンルの地位自体も引き上げていきました。

 

 『見習い天使』は読売新聞社の週刊誌「週刊読売」に1961年から1962年にかけて20回にわたって連載されたもので、挿絵を宮永が担当しました。また1963年に新潮社から単行本が出版された際には、装幀画も描きました。

 

 2023年9月10日に、ちくま文庫で完全版として再度刊行するにあたり、宮永が描いた挿絵も再録されることとなりました。

 

※ 広報はだの令和6年1月1日号掲載予定でしたが、紙面都合上、見送りました。

このページに関する問い合わせ先

所属課室:文化スポーツ部 文化振興課 文化振興担当
電話番号:0463-86-6309

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