令和7年度(2025年度)秦野市長施政方針
問い合わせ番号:17406-4411-3503 登録日:2025年2月28日
2月21日(金曜日)に開会した令和7年3月第1回定例月会議の冒頭に、令和7年度(2025年度)施政方針を述べさせていただきました。
秦野市長 高橋 昌和
はじめに
令和7年度の一般会計予算案をはじめ、諸案件を提案するに当たり、私の市政に臨む基本方針と主な施策について述べさせていただきます。
令和7年1月25日、秦野市と伊勢原市は、これまで両市がそれぞれの施設で対応していた消防通信指令業務を秦野市消防本部に集約し、「共同消防指令センター」として開所しました。
昨年は、8月9日に神奈川県西部で最大震度5弱の地震が発生し、本市でも震度4を記録しており、首都直下型地震など、大規模地震発生の切迫性が懸念されています。
また、同月末の台風第10号による大雨は、本市においても土砂崩れや浸水などの大きな被害をもたらし、私たちの身近な生活に影響を及ぼすなど、自然災害は激甚化・頻発化しています。
これら自然災害に加え、高齢化の進行に伴う救急需要の増大、さらには、新東名高速道路における災害・救助活動など、幅広い対応が求められています。
このような中、最新の設備と最先端のシステムを備えた同センターでは、両市で災害等が発生した時の情報を一元化し、応援体制を充実させることにより、これまで以上に消防、救急、救助要請に迅速かつ的確に対応することが可能となりました。
起こりうる災害に対し、相互応援協力の体制をより一層強化することで、両市の26万市民の尊い生命と安全・安心な暮らしを共に守ってまいります。
さて、今年の元日に、秦野市は市制施行70周年を迎えました。
秦野市の礎を築いてこられた先人たちのたゆまぬ努力に深く敬意を表するとともに、これから80周年、90周年、100周年、そして、それ以降においても、市民が誇りを持って暮らせるまちであり続けられるよう、次代を見据えたまちづくりを進めてまいります。
記念すべき節目となる今年は、「みんなでつなぐ 未来のHADANO」をテーマに、本市の歴史を振り返り、未来へつなげる様々な記念事業を展開し、市民の皆様に「ふるさと秦野」への誇りと愛着をより一層深めていただくとともに、この素晴らしいまちの魅力を市内外に広く発信し、この機会に秦野市全体で盛り上げていきたいと考えております。
今年はまた、終戦から80年の節目の年でもあります。世界に目を向けますと、ロシアによるウクライナ侵攻がまもなく3年を迎えようとしているなど、各地で紛争が続いており、その戦禍に巻き込まれた多くの人々の命や日常が奪われています。
そのような中、昨年のノーベル平和賞では、世界で唯一の戦争被爆国である我が国から、日本原水爆被害者団体協議会が選ばれ、代表委員の田中熙巳(たなか てるみ)さんは、授賞演説で壮絶な被爆体験を語られ、核兵器や戦争のない世界の実現を強く訴えかけました。
昭和44年に制定された秦野市民憲章の第一に、「平和を愛する市民のまち、それは私たちの誇りです」とあるように、平和はいつの時代においても、何より優先されるものでなければなりません。
終戦記念日でもある8月15日の「秦野市平和の日」を中心に、様々な平和関連事業を実施し、平和の大切さや命の尊さを市民と共有して、その歴史的教訓を後世に伝えてまいります。
社会経済情勢を見ますと、物価高騰は今なお続き、市民生活や経済活動に様々な影響を及ぼしています。
引き続き、国や地域経済の動向なども注視しながら、市民の暮らしを守り、事業活動を下支えする対策を適時適切に実施してまいります。
また、昨年12月に開始した、電子地域通貨「OMOTANコイン」を持続可能なものとするため、商業者等の販売促進の取組みを後押しするなど、「OMOTANコイン」の魅力を更に高め、より多くの方に利便性を実感していただくことで、地域内消費の拡大と地域コミュニティの活性化につなげてまいります。
少子化や人口減少という社会問題を抱える中、結婚・妊娠・出産・子育て期から子どもが社会にはばたくまでの切れ目のない支援を掲げ、これまで、産科有床診療所の開設や産後ケアの拡充、3年連続での保育所等の待機児童ゼロの達成、公立児童ホームの対象年齢の拡大など、「子育て支援策」にとどまらず、大きな視点に立ち、「女性と子どもが住みやすいまちづくり」を進めるとともに、子育て世代に向けた移住・定住施策に取り組んできました。
その結果、本市では、令和3年以降、4年連続で人口の社会増が続いており、30代、40代の子育て世代の転入者が増えています。
このように、本市独自の取組みを着実に進める中で、令和8年度には、現在拡幅整備を行っている秦野駅北口の県道705号の対面通行開始、令和9年度には、新東名高速道路の全線開通と秦野丹沢サービスエリアの開設が予定されています。
本市への転入者の流れを止めないために、この好機到来に向けて、中心市街地の活性化や、雇用を促進し、地域の活力を創出する、新たな産業拠点の整備による企業誘致の支援などに取り組み、「表丹沢の魅力づくり」と「小田急線4駅周辺のにぎわい創造」を一体的に推し進めてまいります。
コロナ禍以降、社会全体で急速に進められているデジタル化は、地域課題の解決とともに、行政サービスを向上させる機会として捉え、市民や事業者が便利な生活を実感できるよう、誰一人取り残されないデジタル社会を目指して、更なる充実を図ってまいります。
また、名水や森林里山をはじめとする、秦野が誇る豊かな自然を生かした、「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けた取組みを引き続き進めるとともに、生物多様性を守り、次世代に継承していくため、新たに「ネイチャーポジティブ(自然再興)宣言」を行い、自然環境の保全に努めてまいります。
さらに、1都3県初の認定を目指している都市近郊型モデルの「バイオマス産業都市構想」に基づき、バイオマス資源による経済と環境の好循環サイクルを確立するため、地域特性を生かした事業化プロジェクトに着手していきます。
こうした、本市ならではの魅力を生かした取組みを確実に進めることで、都市近郊にありながら、水とみどりに育まれた良好な自然環境の中で、ゆったりと心身ともに豊かな子育てができる秦野に関心を持ち、「行ってみたい」、「住んでみたい」と思われる、また、市民には「いつまでも住み続けたい」と実感していただけるよう、誰もが魅力を感じる「全国屈指の森林観光都市」を目指してまいります。
さて、今年は、令和8年度からの「総合計画はだの2030プラン後期基本計画」を策定する年となります。
社会経済情勢が目まぐるしく変化する中で、人口減少や少子超高齢社会の到来など、複雑かつ多様化する地方自治体の課題に対応できるよう、まち全体に活気をもたらす若者の声も大切にしながら、幅広い世代・分野の市民の英知を結集し、これからの秦野を描いてまいります。
今年の11月には、「全国報徳サミット秦野市大会」を開催し、二宮尊徳翁の「報徳仕法」の検証を通じて、これからのまちづくり、人づくりに必要な教えを学ぶとともに、その仕法を広めた秦野出身の安居院庄七(あぐい しょうしち)翁と草山貞胤(くさやま さだたね)翁の功績を伝えてまいります。
安居院庄七翁が道徳的な教えを詠んだ歌の一つに、
『乱杭(らんぐい)の 長し短し 人こころ 七に三たし 五に五たすの十』
というよく知られた短歌があります。
川辺に立てた杭は、長いものや短いものがあり、それぞれが作用し合い、水の流れや量を調節することで、杭全体が護岸や堤防を守る働きをするように、人それぞれの思いや考え方、知識は違っていても、お互いが助け合い、補い合うことで、十の優れたものになるということを説いたものでございます。
この教えを胸に刻み、多様な意見に耳を傾け、議論を交わし、お互いに理解し合い、協同・協調することで大きな力を発揮できるよう、市民力・地域力・職員力を結集して市政運営に当たってまいります。
私は年頭に当たり、市長任期2期目の最終年に臨む思いを示す字として、「成(なる)」の一文字を掲げました。
この間、「100年に1度の危機」とも言われた新型感染症から、最優先で市民の命と暮らし、地域経済活動を守りながらも、本市の将来を見据えた様々な種を蒔き、大切に育ててきました。
今年の干支「乙巳(きのと み)」は、これまでの努力や準備が実を結び始める時期と言われていますが、重点事業として進めてきた、表丹沢の魅力づくり、4駅周辺のにぎわい創造、東名・新東名高速道路を生かしたまちづくり、女性と子どもが住みやすいまちづくりなど、それぞれの取組みが形になりつつあります。
この歩みを止めることなく更に大きく開花させ、その果実を得る、正に「成果」を出す、という決意を込めています。
これまで以上に、市民一人ひとりの声を生かしたまちづくりを推し進め、都市像である「水とみどりに育まれ 誰もが輝く 暮らしよい都市(まち)」の実現を目指し、粉骨砕身で取り組んでまいりますので、改めて、議員の皆様、市民や事業者の皆様のご理解・ご協力をお願い申し上げます。
令和7年度当初予算は、新東名高速道路の全線開通や秦野丹沢サービスエリアの開設を目前に、まちの活力創出に向けた投資の時期と捉え、積極果敢に事業展開していくため、「ふるさと秦野の輝く未来に向けて挑み続ける予算」として編成しました。
“住んでみよう・住み続けよう”秦野みらいづくりプロジェクト(5つの誓い2022)
それでは、令和7年度の主な取組みについて、まずは、「“住んでみよう・住み続けよう”秦野みらいづくりプロジェクト(5つの誓い2022)」に沿って、説明します。
健康で安心して暮らせるプロジェクト
はじめに、「健康で安心して暮らせるプロジェクト」の施策です。
水とみどりを育む取組みの推進では、今年度に浄水管理センターに設置した太陽光発電により、再生可能エネルギーを効果的に活用するとともに、公共施設のLED化、電気自動車等の次世代自動車の導入などを進め、市役所が、地域の脱炭素をけん引する事業所となることを目指します。
また、森林里山の循環サイクルを構築するため、森林整備を進めるとともに、小学校の学習机の天板に里山の広葉樹を活用するなど、秦野産木材の活用に取り組み、二酸化炭素の吸収、固定化の促進につなげます。
市民共有の財産である「秦野名水」の保全と利活用としては、市制施行70周年記念事業として開催する「名水サミット」において、これまで本市が取り組んできた地下水保全の活動や、名水の里の魅力を市内外に広く発信し、「秦野名水」の普及啓発に努めます。
さらに、今年度改定する秦野名水の活用戦略に基づき、地下水の量と質を保全しながら、有効活用していくための取組みを進めていきます。
人生100年時代の健康長寿に向けた取組みの推進では、地域高齢者支援センターと連携し、サロンをはじめとした通いの場の充実や健診結果に基づく高齢者一人ひとりに合わせた保健指導などにより、生活習慣病の重症化予防やフレイル予防の取組みを推進し、健康寿命の延伸を図ります。
さらに、本年4月から定期接種化される帯状疱疹ワクチンの予防接種への助成を開始することで、高齢者の発症又はその重症化の予防を図ります。
地域医療体制の充実強化としては、休日夜間急患診療所が老朽化していることなどから、医師会などと連携し、早期建替えに向けた基礎調査を進め、休日・夜間における診療体制の維持・強化に努めます。
生きがいを持って安心して暮らせるまちづくりの推進では、シルバー人材センターへの委託による高年齢者の就労相談や、地域での介護予防の担い手養成などにより、就労やボランティア活動を促進し、生きがいを持って、生涯現役で活躍を続けられる社会を目指します。
また、保健福祉センターにおいては、地域福祉及び子育ての拠点とすることを目指し、まずは相談支援環境の充実を図るとともに、空調設備の更新に向けた実施設計を行うなど、市民が快適に安心して利用できる施設整備に取り組みます。
障害者等への支援では、就労や地域生活の支援を充実させるとともに、今年度策定する「はだの障害福祉推進プラン」に基づく取組みを着実に実施します。
加えて、パラスポーツの普及促進や、東京2025(にーぜろにーごー)デフリンピックに向けた機運醸成を図ることで、全ての人が互いに尊重し共生するインクルーシブな社会の実現を目指します。
生活困窮者等への支援としては、引き続き、家計改善や就労に向けた包括的な支援を通じて、社会的・経済的自立を促進します。
災害や犯罪に強いふるさとづくりの推進では、第一次避難所の充実として、避難生活で特に重要とされる飲料水を確保するための簡易水槽や、災害用トイレなどの備蓄品を整備するとともに、福祉避難所では、利用者に配慮した必要物品の見直しを行い、平時からの備えを強化します。
また、情報伝達手段として有効である防災行政無線の設備を更新するとともに、本庁舎に設置している操作卓を、場所を問わず情報発信が可能なタブレット型の操作卓とすることで、市民の確実な避難行動につなげます。
公共施設においては、市民が安心して施設を利用できるよう、特定天井について、保健福祉センターでは実施設計を、文化会館では改修工事を実施し、利用者の安全確保に努めます。
さらに、水道・下水道施設の耐震化については、計画を前倒しして進めるとともに、橋りょうの耐震化については、緊急輸送路に指定されている東名高速道路に架かる矢名橋の工事を実施します。
また、昨年の台風第10号での経験を踏まえ、災害の未然防止と早期復旧の観点から、既成宅地防災工事補助金制度の対象となる土地の要件を拡充し、支援を強化します。
加えて、集中豪雨への対策として、準用河川室川の整備を進めるとともに、河川及び水路の点検やパトロールを強化し、適切な維持管理に努めます。
市民の生命と暮らしを守る防犯対策の充実としては、昨今、全国的に発生している、闇バイトに関連する強盗事件や無差別殺傷事件などにより、防犯カメラの必要性が高まっていることから、引き続き、市内の要所への設置台数を増やすとともに、自治会連合会、防犯協会、民間事業者の3者で締結した新たな協定に基づき、地域や個人宅への設置を後押しすることで、安全・安心なまちづくりを進めます。
未来を拓く子育て・教育プロジェクト
次に、「未来を拓く子育て・教育プロジェクト」の施策です。
安心して妊娠・出産できる環境づくりの推進では、妊娠から子育てまで切れ目なく相談支援を行う「こども家庭センター」において、迅速に適切な支援が行えるよう、相談員を増員するとともに、組織体制を見直します。
また、1か月児の健康診査について、費用負担の軽減を図るとともに、生後の養育環境を確認する機会として、乳児の疾病や虐待等の早期発見につなげます。
さらに、小児二次救急医療の充実に向けて、秦野赤十字病院が実施している夜間小児救急に対し、新たに運営費の一部を支援します。
秦野で子育てして良かったと思える環境づくりの推進では、子育て環境の充実として、引き続き、小・中学校や保育所などで提供する給食食材に対する物価上昇相当額を支援することで、給食の質と量を維持します。
就学援助制度においては、4月から3月までの年度単位で設定している認定期間を、10月から翌年9月までに変更することで、年度初めに生じている保護者の一時的な経済的負担を軽減します。
放課後児童ホームにおいては、スマートフォンなどから児童の利用スケジュールを登録できる機能や、入退室を保護者に自動でメール配信する機能などを持つ入退室管理システムを導入することで、安全・安心で円滑な運営体制の強化を図ります。
また、医療的ケアを必要とする子どもたちへの支援を充実するため、新たに「入園・入学支援連携会議(仮称)」を設置するなど、関係機関と連携した支援体制を構築します。
さらに、ひとり親家庭の早期自立と生活の安定を図るため、就労に必要な資格を取得するに当たっての経済的支援や、資格取得後のアフターケアなど、個々の状況に合わせた支援を行います。
若い世代への結婚支援としては、これまでの結婚前の支援の充実に加え、結婚に伴う新生活への経済的支援を新たに実施します。
次代を担う「はだのっ子」の確かな学力向上施策の推進では、子どもたち一人ひとりの学力や、学習意欲の基盤となる非認知能力に着目した「学びの基盤プロジェクト」を軸に、寺子屋方式の放課後学習支援事業の拡充や、読解力向上ワークシートの新規導入などにより、引き続き、教育水準の改善・向上を図ります。
また、学校における働き方改革をさらに推進するため、部活動の地域移行に加え、児童生徒の泳力向上を目的として、水泳指導の民間委託実証事業にも取り組み、教職員が子どもと向き合う時間の確保を目指します。
さらに、学校におけるインクルーシブ教育をより推進するため、特別支援教育コーディネーターを増員し、全ての児童生徒が同じ場で育ち、学ぶ環境づくりを推進します。
幼児教育・保育の質の充実としては、昨年4月に開設した「乳幼児教育センター」を拠点とし、園小接続カリキュラムの運用を軸に、公私・園種の枠を越えた園小中一貫教育の強化につなげます。
また、本年4月に公私連携幼保連携型認定こども園として、ほりかわ幼稚園跡地に開園する「ペコちゃんこども園ほりかわ」については、公私連携の枠組みを生かし、本市の幼児教育の伝統を引き継いでいきます。
教育・保育環境の充実としては、公立幼稚園で実施している「未就園児交流」を拡充し、本町、北及び西の3園において、3歳児を対象とするプレ保育を試行的に実施します。
市民総ぐるみによる学校給食の推進では、秦野市農業協同組合や秦野商工会議所、地域生産者組合との連携により、地場産品を取り入れた献立を工夫するなど、地産地消や食育の推進を図るとともに、地域経済の活性化に取り組みます。
小田急線4駅周辺のにぎわい創造プロジェクト
次に、「小田急線4駅周辺のにぎわい創造プロジェクト」の施策です。
小田急線4駅周辺のにぎわい創造では、中心市街地活性化基本計画に基づき、秦野駅北口周辺にぎわい創造推進事業を本格始動し、県道705号沿道に整備する、多世代交流拠点となる施設の規模やレイアウトの検討及び商業・業務系施設のための事業用地の確保など、本市の活力向上につながる取組みを加速させていきます。
また、各駅においては、まちの魅力を高め、にぎわいと交流の機会の創出を図るため、にぎわい創造検討懇話会からの提案をもとに、引き続き、地域と連携して、「歩いて楽しい、歩いて暮らせるまちづくり」に向けた取組みを進めます。
具体的には、秦野駅において、名水や歴史あるまちなみの活用として、水無川沿いの市道6号線や駅前広場等を、市民による発表や交流のための空間として活用し、にぎわいを創出する取組みを進めるとともに、ペデストリアンデッキ及びまほろば大橋の時計台等をカラーLED化し、季節やイベントに応じて光の演出をします。
鶴巻温泉駅においては、地域が主体となって進めている「ジビエの食べられる街」の認知度向上に取り組むとともに、鶴巻地区を訪れる人の回遊性の向上や公共施設の効果的な活用などを目的に、今年度実施した社会実験の結果を踏まえ、年間17万人以上が来訪する弘法の里湯を生かし、地域主体の拠点づくりを支援します。
東海大学前駅においては、改札口から一望できる駅前広場を活用し、東海大学と連携した市民参加型のアートイベントを開催するとともに、地元商店会が主導するにぎわいづくりを後押ししていきます。
渋沢駅においては、空き店舗の活用を視野に、地域の商業者と連携して、体験型のワークショップの開催や、まちに人が回遊し、滞留するイベント事業などに取り組みます。
各駅間を結ぶ人の流れを生み出す取組みでは、秦野駅、東海大学前駅、鶴巻温泉駅をつなぐ観光拠点となる弘法山公園の魅力向上を図り、3駅周辺のにぎわい創造につなげるため、ガイドブックの作成やインフルエンサーを活用した広報宣伝のほか、イベントの実施などにより、更なる誘客を図ります。
秦野駅と渋沢駅をつなぐ渋沢丘陵においては、震生湖の太鼓橋の架替工事を進めるとともに、市民が親しみを感じ、愛着を持つ観光拠点となるよう、公募した新たな名称を橋の完成に合わせて発表します。
さらに、渋沢丘陵一帯の魅力を引き出すため、「はだのスポーツビレッジ」の令和8年度の開設に向けて、公民連携による施設の整備に合わせ、進入路の整備などを進めるとともに、丘陵周辺の土地利用及び道路網の検討を進め、地域活性化につなげていくための「渋沢丘陵周辺土地利用構想(仮称)」を策定します。
文化財を生かしたにぎわい創造の推進では、はだの歴史博物館において、収蔵資料が閲覧できる専用ホームページの制作や、スマートフォンのアプリを活用した展示解説の導入など、市制施行70周年を記念し、デジタルミュージアムとして整備することで、文化財の普及啓発及び歴史・文化の拠点として、本市の魅力を広く発信していきます。
新東名・246バイパスの最大活用プロジェクト
次に、「新東名・246バイパスの最大活用プロジェクト」の施策です。
表丹沢魅力づくり構想の推進では、魅力づくりビジョンの実現に向けて、今年度実施している社会経済動向の調査結果等を踏まえた構想の更新を行うとともに、引き続き、表丹沢ツーリズムの充実と積極的な情報発信により、表丹沢の認知度向上とファンの獲得に取り組みます。
構想エリア東側の菜の花台園地においては、樹木の伐採や木製ベンチ設置などの環境整備により、眺望を確保するとともに、広葉樹林の循環を図ります。
エリア中央に位置する羽根森林資源活用拠点(仮称)においては、森林観光都市の魅力を感じられる拠点づくりに向け、学識経験者や林業関係者などで構成する検討会を設置し、参入する民間事業者の選定を進め、事業化を目指します。
また、エリア西側では、市制施行70周年を記念した市民の文化芸術振興活動として、秦野丹沢野外彫刻展を実施します。審査により選ばれる彫刻2基は、県立秦野戸川公園とはだの丹沢クライミングパークの新たなシンボルとして設置し、「彫刻のあるまち」を市内外にPRすることで、表丹沢のにぎわいの創出と観光客の誘致を図ります。
地域特性を生かした企業誘致の推進では、戸川地区と西大竹地区の土地区画整理事業の早期完成に向けた支援を行います。
また、企業活動への支援の充実として、引き続き、事業の拡大や生産性向上のために設備投資等を行う市内企業を支援します。
新たな人の流れを支えるネットワーク形成の推進では、秦野丹沢スマートインターチェンジから市街地へのアクセスを高める都市計画道路菩提横野線の整備を、並行する矢坪沢水路と合わせて進めます。
国道246号バイパス(厚木秦野道路)の早期全線事業化・整備の促進では、県や近隣関係自治体と連携し、国に対し、未事業化区間の早期全線事業化と事業化区間の早期開通を強く働きかけるとともに、事業への理解を深めていただくため、積極的な情報発信に取り組みます。
そして、「移住・定住活性化プロジェクト」では、住宅購入費の一部を補助する「はだの丹沢ライフ応援事業」について、ふるさと回帰と定住促進を目的として、新たに親世帯との近居・同居に対する補助メニューを加えることを機に、名称を「はだのOMOTANライフ応援事業」に改め、制度のリニューアルを図ります。
新たな日常創造プロジェクト
最後に、「新たな日常創造プロジェクト」の施策です。
市民の利便性を高めるデジタル化の推進では、ICTの積極的な活用として、利用者が多い公共施設を中心に、クレジットカードや各種電子マネーによるキャッシュレス決済が可能となる窓口を拡充するとともに、オンラインによる妊娠届の事前提出及び面談予約が可能となる機能を電子母子健康手帳に導入することで、利便性の向上を図ります。
マイナンバーカードの普及促進としては、健康保険証や運転免許証との一体化などを踏まえ、カードの利便性と安全性を周知し、取得促進を図るとともに、引き続き、窓口や地域における申請支援と有効期限を迎えるカード及び電子証明書の円滑な更新手続きに取り組みます。
また、住民基本台帳等を管理する基幹系システムの標準化・共通化を進め、令和8年1月から、一部のシステムを除き、全国統一的な標準仕様に対応した新たなシステムによる運用を開始します。
自治会のICT化への取組みとしては、自治会SNS「いちのいち」に、自治会内でのアンケートや防災倉庫の物品管理、自治会館の予約などができる便利な機能が追加される予定であることから、引き続き、出前説明会での普及啓発や実践事例の共有化に取り組むことで、利用世帯の拡大を図ります。
5つの基本目標
引き続き、「秦野みらいづくりプロジェクト」以外の施策について、総合計画前期基本計画に掲げた5つの基本目標に沿って、説明します。
誰もが健康で共に支えあうまちづくり
まず、「誰もが健康で共に支えあうまちづくり」の施策です。
健康で暮らせる環境づくりの推進では、特に働く世代の健康増進を図るため、市内企業と連携し、青年期から壮年期の健康課題に対する支援ができるよう、職域ネットワークの構築に取り組みます。
誰もが安心して暮らせる地域共生社会の実現では、令和9年度を始期とする第10期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に向けて、介護予防・日常生活圏域ニーズ調査を実施するとともに、計画の柱のひとつとなる認知症に関する施策について、本人とその家族の声を取り入れる機会を設けるなど、実効性のある計画づくりを進めます。
子育ての希望をかなえる社会環境づくりの推進では、保育所等の利用環境の向上として、保育士等の負担を軽減するため、民間保育所等における人員配置に対する補助を引き続き実施し、保育の質の向上を図るとともに、民間保育所等が実施する施設の老朽化に対応した改修への支援を行います。
生涯にわたり豊かな心と健やかな体を育むまちづくり
次に、「生涯にわたり豊かな心と健やかな体を育むまちづくり」の施策です。
子どもたちの生きる力を育む教育環境づくりの推進では、次世代を見据えた教育基盤の整備として、児童生徒数の減少や学校施設の耐用年数などを踏まえ、昨年9月に策定した「みんなで考えるみらいの学校整備指針」をもとに、整備時期が最も早い大根中学校区において、地元で組織する「大根中学校区学校整備懇話会」などとの意見交換を積み重ねながら、学校整備構想の策定を進めます。
また、児童生徒一人1台の学習用端末を計画的に更新するとともに、通信環境を改善し、デジタルを活用した学びの充実を図ります。
安全・安心で快適な教育環境づくりの推進としては、本町小学校屋内運動場及び渋沢中学校格技室の床の改修や、東小学校の北棟及び渡り廊下の屋上防水など、適切な修繕を行います。
生涯にわたり学び生かす環境づくりの推進では、令和12年に更新時期を迎える南公民館について、建替えに向けた検討を進めるとともに、敷地内の地盤調査を実施します。
生涯にわたりスポーツを楽しめる環境づくりの推進では、スポーツ活動の普及促進として、「はだの丹沢水無川(みなせ)マラソン大会」や、元メジャーリーガーによる子ども向けの野球体験イベントなどを、市制施行70周年記念事業として実施します。
名水の里の豊かな自然と共生し安全・安心に暮らせるまちづくり
次に、「名水の里の豊かな自然と共生し安全・安心に暮らせるまちづくり」の施策です。
環境と共生する快適な暮らしの確保では、多様な生物を育む自然環境の保全・再生として、令和5年度に認定された葛葉緑地に続き、市内7か所の生き物の里の自然共生サイトへの認定を目指します。
ごみの減量と資源化の推進としては、市民の利便性の向上とはだのクリーンセンターの安定稼働に向け、製品プラスチックを資源化するため、本年4月から、プラスチックの一括回収を開始するとともに、収集日を隔週から毎週へと拡充します。
加えて、資源物の収集回数を増やすことにより、更なるごみの減量と分別の徹底を図ります。
地域特性を生かした都市農業の振興では、引き続き、新規就農者の就農促進や、認定農業者等中核的農業者の経営基盤強化に対する支援に取り組みます。
また、今年度策定する将来の地域農業の在り方を明確化した「地域計画」の実現に向けて、地域とともに農地の集約化や担い手の確保を進めます。
さらに、鳥獣被害対策として、農業者のほか、関係機関と協働し、多くの担い手による「捕獲」や「防除」、「環境整備」の基本施策を総合的に継続して実施していくことで、被害の減少を目指すとともに、捕獲鳥獣のジビエ利用についても推進していきます。
市民の生命と暮らしを守る安全・安心な生活環境づくりの推進では、暮らしの安心を支える消防・救急体制の充実として、複雑多様化する消防需要へ的確に対応するため、消防車両を更新するとともに、業務のDXを推進し、救急活動の効率化を図ります。
また、秦野赤十字病院と連携した派遣型救急ワークステーションの運用や、高度な救命処置を行う救急救命士の養成のほか、講習会を通じた市民への応急手当の知識と技術の普及により、救命効果の向上につなげます。
消防団施設等の充実としては、渋沢地区の消防団車庫待機室の建替えと小型動力ポンプ付積載車2台の更新に加え、災害対応する消防団員の個人装備品を更新し、地域防災力の強化を図ります。
地域の交通安全対策の充実としては、広く市民に交通安全教室を実施し、交通安全意識の向上を図るとともに、昨年4月から開始した自転車ヘルメット購入への補助を引き続き実施することにより、命を守るヘルメットの着用を促進します。
安心できる消費生活の支援としては、高齢者やその見守りをする方を対象とした、消費者トラブルに関する啓発講座の開催や情報提供を定期的に行うとともに、消費生活センターに寄せられる多様な相談に適切に対応するなど、引き続き、消費者の安全と安心を確保するための取組みを実施します。
また、市民相談の充実として、市民生活における悩み事や問題の解決に向け、その糸口を見つけ出すことができるよう、各種専門相談による支援に努めます。
犯罪被害者等への支援としては、「犯罪被害者等支援条例」に基づき、関係機関と連携し、総合的な支援を行うとともに、犯罪被害者支援の必要性や市民の理解の促進に努めます。
住みたくなる訪れたくなるにぎわい・活力あるまちづくり
次に、「住みたくなる訪れたくなるにぎわい・活力あるまちづくり」の施策です。
暮らしやすく活力ある都市機能の維持・充実では、都市形成と基盤整備の推進として、秦野駅南口において、令和9年度の工事完了に向け、今泉地区の土地区画整理事業による建築物の移転補償や造成工事を進め、交通利便性が高く、良好な住環境を創出します。
地域に愛される公園や緑地の創造としては、南が丘公園の東屋及び園路の補修や、よねやま公園の遊具改修を実施するなど、施設を適切に維持管理することで、利用者の安全性と利便性の向上を図ります。
地域を結ぶ公共交通ネットワークの確保・維持としては、運行経費の高騰や運転士不足など、取り巻く状況が厳しさを増す中で、地域に合った持続可能な公共交通の実現に向け、関係者との協働による効率的な運行体制の構築及び運行事業者への支援の充実を図ります。
地域に根ざした活力ある工業の振興では、新入社員の孤立防止や職場定着の向上、業種や職種を超えた企業連携の契機となるよう、秦野商工会議所と連携し、中小企業を対象とした合同入社式を開催します。
また、本市の商・工業を取り巻く現状や課題を整理し、中・長期的な視点での目指すべき方向性を定め、商工業振興施策を総合的かつ計画的に推進していくため、「商工業振興基本計画(仮称)」を策定します。
良好な住環境の創出では、空家等の適正管理と活用として、協定団体と連携し、空家の発生抑止や利活用を促進するとともに、今年度に実施した実態調査及び意向調査の結果を踏まえた秦野市空家等対策計画の改定作業を進めます。
市民と行政が共に力を合わせて創るまちづくり
最後に、「市民と行政が共に力を合わせて創るまちづくり」の施策です。
協働による地域運営の推進では、多様な担い手による協働の推進として、各種団体において、担い手不足などの課題を抱えていることから、行事運営や活動の在り方などの見直しに向けた取組みを支援するとともに、引き続き、地域コミュニティの核となる自治会の負担軽減や、共助の重要性への理解促進を図ることで、将来にわたり持続可能な地域コミュニティの維持・強化に努めます。
広報・広聴活動の充実とシティプロモーションの推進としては、市制施行70周年の記念映像を制作し、本市の四季折々の魅力を市内外に発信するとともに、広報はだのやSNSなどの各種媒体を活用した広報活動により、市民がより「ふるさと秦野」への誇りと愛着を持てる機会を創出します。
また、わたしの提案制度や懇談会等で寄せられる、若い世代をはじめとする様々な立場からの意見を聴取し、丁寧に対話を重ね、市政運営へ的確に反映します。
人権を尊重し、多様性を認めあう社会づくりの推進としては、人権尊重意識の醸成や男女共同参画社会の推進を図るため、市民・事業者等と連携して啓発活動を実施するとともに、人権相談、女性相談体制の充実を図ります。
市民に信頼される持続可能な行財政運営の推進では、市役所改革として、引き続き、職員がライフワークバランスを保ちながら、能力を最大限発揮することができる職場環境づくりに取り組みます。
また、限られた財源や職員数の中でも、真に必要な行政サービスを安定的に提供するため、はだの行政サービス改革基本方針に基づく取組みを進めるとともに、公共施設再配置の推進として、学校施設との複合化を含めた公共施設の在り方を引き続き検討します。
健全で着実な財政運営の推進では、ふるさと寄附金について、市内事業者との連携を強化し、本市の魅力を実感していただく体験型の返礼品や、地元が誇る特産品など、地域資源を効果的に活用し、戦略的に情報発信することで、より一層の財源確保の推進を図ります。
以上、私の令和7年度における市政に臨む基本方針と主な施策について述べました。「有言実行」、「率先垂範」、「積極果敢」という一貫した信念のもと、「ふるさと秦野」の未来に向けて取り組んでまいりますので、皆様のご理解・ご協力をお願い申し上げます。
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