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令和5年度秦野市長施政方針

問い合わせ番号:16768-6565-8644 登録日:2023年2月22日

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 2月22日(水曜日)に開会した令和5年3月第1回定例月会議の冒頭に令和5年度施政方針を述べさせていただきました。

秦野市長 高橋昌和

shiseihoushin

はじめに

 令和5年度の一般会計予算案をはじめ、諸案件を提案するに当たり、私の市政に臨む基本方針と主な施策について述べさせていただきます。

 初めに、今月6日に発生したトルコ・シリア大地震により、犠牲となられた方々に深く哀悼の意を表します。また、被災された方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、日常生活が早期に戻ることを、心からお祈りいたします。

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、1年が経とうとしています。
 平和で心豊かに暮らせる社会の実現は、いつの世も、世界の誰もが思う普遍的な願いです。私は、秦野市民憲章に掲げる「平和を愛する市民のまち」の首長として、一日も早く、ウクライナ国民が国の花に掲げる向日葵のように、輝く笑顔を咲かせ、平穏な日常を取り戻すことを切に願っています。
 折しも今日は、2月の最終水曜日、「ピンクシャツデー」です。
 ピンク色を身に着けて、“いじめストップ!”を宣言したこの活動は、2008年にカナダの男子高校生の勇気ある行動から始まり、今では世界180か国以上に広がっています。本市としても、足元からの平和を見つめ直す貴重な機会として、今後もこの活動と軌を一にしていきたいと思います。

 昨年末、FIFAワールドカップカタール大会に出場した日本代表チームは、目標としていたベスト8には、あと一歩届きませんでしたが、優勝経験国から立て続けに勝利を挙げるなど、大会を沸かせる活躍を見せてくれました。
 組織の総合力を引き出し、チーム一丸となって目標に挑む姿勢は、同様に自治体経営にとっても大変重要です。私は、最後まで諦めず、世界に冠たる強豪国に立ち向かう、サムライブルーの雄姿を目の当たりにし、改めて、「ふるさと秦野」の新たな可能性を開く、挑戦への一歩を踏み出す勇気をもらいました。
 そこで、年頭に当たり1年にかける想いを表す漢字に、「開拓」や「開く」などに使う「開(かい)」の一文字を掲げました。昨年4月の新東名高速道路の秦野区間開通は、本市にとって、文字通り「新時代の幕開け」となりました。先見性を発揮し、令和9年度に予定される全線開通や秦野丹沢サービスエリアの開設などを最大活用することで、新時代の先の未来を切り開いていく、その決意を込めたものです。
 今、未来を見据え、自信と確信を持って、優先的に取り組んでいる「表丹沢の魅力づくり」と「小田急線4駅周辺のにぎわい創造」の取組みを一体的に進め、全国屈指の森林観光都市の具現化に向かって、市民、職員と共に一歩ずつ前へと、歩みを踏み進めてまいります。

  さて、国内の情勢に目を向けますと、100年に一度の未曽有の危機と言われる新型感染症の長期化に加え、ウクライナ危機や円安に起因するエネルギー・食料価格の高騰などの困難が、同時かつ複合的に押し寄せ、まさに今、日本は歴史的な国難に直面しています。
 国は、この難局を単に乗り越えるだけでなく、課題解決に向けた取組み自体を成長戦略に位置付け、新しい資本主義の旗印の下で、物価高騰対策や構造的な賃上げに取り組んでいます。その一方で、社会課題を成長のエンジンへと転換するGX(グリーン・トランス・フォーメーション)やDX(デジタル・トランス・フォーメーション)などの新たな投資にも着手しています。
 また、合わせて、子ども・子育て支援を強化するなど、若者も高齢者も、障害のある方もない方も、性別に関係なく、全ての人が安心できる全世代型社会保障の構築を着々と進めています。
 本市においても、新型感染症対策や物価高騰対策は、引き続き、何よりも最優先で取り組むべき課題であり、アフターコロナを見据えた中で、市民の生命と暮らしや地域経済を守るための施策を適時適切に講じてまいります。さらに、現下の潮流と未来を見定め、デジタル化やカーボンニュートラルなどにも積極果敢に取り組むとともに、市民が安心して子どもを産み、育てることができるよう、妊娠・出産から子どもたちが社会にはばたくまで、切れ目のない施策の充実・強化を図り、次代を担う「はだのっ子たち」へ希望溢れる「ふるさと秦野」を引き継いでまいります。

 社会経済情勢が目まぐるしく変化する予測困難な時代にあって、市長として、これまで以上に経営手腕が問われていると認識しています。
『去年(こぞ)今年(ことし)貫く(つらぬく)棒(ぼう)の如(ごと)きもの』
 これは、明治から昭和にかけて活躍し、近代俳句の巨匠と呼ばれた高浜(たかはま)虚子(きょし)が、昭和25年の歳末にラジオの新年放送収録で詠んだ句です。
 「去年今年」とは、行く年来る年、大晦日の夜を境に今年が去年になるように、この世は一瞬たりとも不変のものはないことを表した言葉です。
 一方、「貫く棒の如きもの」には、時が流れ、どんなに世の中の状況が変わろうとも、自分が正しいと信じた生き方、考え方は変わらないという強い信念が示されています。
 私が、平成30年1月に秦野市長に就任して以来、揺らぐことなく一貫して持ち続けている想いは、市民一人ひとりの声を大切に市政運営に取り組むことです。これからも私が信ずる「貫く棒の如きもの」を基本姿勢に、16万市民のトップリーダーとして、持続可能な自治体経営を実践しながら、「愛するふるさと秦野」の明るい未来を切り開いていきたいと思います。

 御承知のとおり、本市は令和7年1月1日に市制施行70周年を迎えます。コロナ禍もようやく出口が見えつつある中、新年度は明るい未来の1ページを開く節目に向け、本市の歩みを振り返ると同時に、先人から脈々と受け継がれている「進取の精神」を存分に発揮し、我がまちの魅力と将来性を時代の潮流に乗せて発信していくための準備を市民と共に進めてまいります。
 “秦野は素晴らしいまち”と末永く誇れるよう、市民一人ひとりの声を大切にしながら、職員はもとより、地域の皆様のお力も賜り、総合計画に掲げた都市像である『水とみどりに育まれ誰もが輝く暮らしよい都市(まち)』の実現を目指し、全身全霊で取り組んでまいりますので、改めて、議員の皆様、市民の皆様の御理解・御協力をお願い申し上げます。

 令和5年度当初予算は、本年の干支「癸(みずのと)卯(う)」の由来のごとく、これまでの5年間で種をまいた様々な取組みを足掛かりに、兎(うさぎ)が跳躍する姿と本市の飛躍・発展を重ね合わせ、「輝くふるさと秦野の未来を切り開くため積極果敢に挑む予算」として編成しました。

 “住んでみよう・住み続けよう”秦野みらいづくりプロジェクト(5つの誓い2022)

 それでは、令和5年度の主な取組みについて、まずは、「“住んでみよう・住み続けよう”秦野みらいづくりプロジェクト(5つの誓い2022)」に沿って、説明します。

 健康で安心して暮らせるプロジェクト

 はじめに、「健康で安心して暮らせるプロジェクト」の施策です。
 水とみどりを育む取組みの推進では、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、「地球温暖化対策実行計画」に基づき、太陽光発電設備設置事業者との電力販売契約の締結(PPA)や脱炭素コンソーシアムの開催など、地球温暖化対策の推進と再生可能エネルギーを積極的に活用する取組みを市民、事業者と一丸となって進めます。
 また、市庁舎等の照明設備のLED化を計画的に進めるほか、再生可能エネルギー由来の電力の活用や環境負荷が少ない公用車の導入等を進めます。さらに、環境にやさしく、災害に強いまちづくりの構築を目的として、木材や食品残さなど、多品種少量のバイオマス資源を生かした都市近郊型の「バイオマス産業都市構想」を策定します。
 
加えて、本市の約52パーセントを占める森林里山の整備、秦野産木材の活用促進に取り組み、二酸化炭素の吸収、固定化の促進につなげます。
 市民共有の財産である「秦野名水」の保全と利活用としては、令和6年1月1日に「名水復活宣言」から20周年を迎えるに当たり、貴重な水資源を後世へとしっかり引き継いでいけるよう、記念式典や公民連携で取り組んできた汚染浄化事業の歩みを振り返るイベントを開催します。
 また、名水を身近に感じられる「名水スポット」の整備と周知に努め、秦野名水名人講とも連携し、「名水の里 秦野」の魅力を広く発信します。
 人生100年時代の健康長寿に向けた取組みの推進では、健康で暮らせるための地域医療体制の充実として、引き続き、各医療機関、関係機関、神奈川県等と連携し、市民が安心して医療を受けられるよう、取り組みます。
 高齢者の保健事業と介護予防の一体的な取組みとしては、サロンなどの通いの場を活用したフレイル予防や生活習慣病の重症化予防対策を強化し、自立した生活に向けた支援に努めます。また、高齢者の社会参加を促進するため、就労支援や買い物支援の拡充を図り、暮らしと安心をみんなで支えあう、エイジフレンドリーシティの実現を目指します。
 生涯スポーツの普及促進としては、ウォーキングやボルダリングなど、一人で気軽にできるスポーツの普及に努め、健康寿命の延伸につなげます。また、パラスポーツを通じた活動に力を入れている上智大学や一般社団法人パラクライミング協会等と連携し、パラスポーツを通じた多様性を尊重する共生社会の推進に取り組みます。
 生きがいを持って安心して暮らせるまちづくりの推進では、誰もがニーズに合った福祉サービスを受けられるよう、地域共生支援センターを中心とした多機関協働による包括的な相談支援体制の充実を図ります。
 また、地域生活課題を抱えながらも、自ら支援を求めることが難しい人に必要な支援を届けるアウトリーチ事業を開始し、地域共生社会の実現に向けた取組みを進めます。
 障害者等への支援の充実としては、障害者の地域生活を支えるため、医療的ケア児の支援体制を構築するとともに、緊急時の受入れ体制の拡充を図ります。また、障害者スポーツの普及や就労支援の充実を図るなど、社会参加の促進に努めることで、ともに生きる社会の実現を目指します。
 生活困窮者等への支援の充実としては、新型感染症等の影響により、様々な困難に直面している世帯に対し、引き続き、住居確保給付金を支給するとともに、自立した生活の定着を図るため、家計改善支援や食糧等支援体制の構築に努めます。
 災害や犯罪に強いふるさとづくりの推進では、災害時に自ら避難することが困難な高齢者や障害者など、避難行動要支援者の迅速かつ円滑な避難の確保を図るためのシステムを導入します。
 また、大規模地震等に対応した備蓄体制を強化するとともに、関東大震災の発災から100年の節目に合わせ、様々な大災害の教訓を生かした災害対応訓練等を実施するほか、ウィズコロナを前提とした避難所運営体制の整備などに取り組みます。さらに、激甚化・頻発化する自然災害を教訓とし、浸水被害を未然に防止するため、室川の護岸整備を進めるとともに、河川・水路の適切な維持管理を図ります。
 市民の生命(いのち)と暮らしを守る防犯対策の充実としては、新東名高速道路の秦野区間開通に伴う交通動態の変化などを踏まえ、防犯カメラの効果的な配置を進めます。また、現在、増加傾向にある特殊詐欺をはじめとした犯罪に対しては、警察、防犯ボランティア、自治会等と連携し、防犯パトロールや周知活動を行うことで、被害の未然防止に努めます。

未来を拓く子育て・教育プロジェクト 

 次に、「未来を拓く子育て・教育プロジェクト」の施策です。
 安心して妊娠・出産できる環境づくりの推進では、有識者による助言・指導等を受けながら、切れ目のない支援に努めるとともに、引き続き、秦野赤十字病院における分娩業務再開に向けた取組みを進めます。
 また、新たに、産科有床診療所の施設整備等を支援する「産科有床診療所整備等支援事業」と、妊産婦の健診や出産時の移動を支援する「妊産婦へのタクシー利用助成事業」を創設し、安心して分娩できる環境整備をさらに推し進めるなど、女性と子どもが住みやすいまちづくりへの取組みを拡充します。
 秦野で子育てして良かったと思える環境づくりの推進では、結婚を希望する市民への支援策として、今年度に引き続き、結婚機運の醸成に向けたセミナーを開催するとともに、新たに出会いの場となるマッチングパーティーを開催するなど、事業を拡充します。
 子育て支援の充実としては、0歳から中学3年生までを対象としている小児医療費の助成について、小学生以上に設けている所得制限を、本年10月に撤廃します。
 また、放課後児童ホームの対象学年について、これまでの小学4年生から6年生までに拡大するため、新年度から末広小学校で先行実施し、全市的な拡大に向けた準備を進めます。
 次代を担う「はだのっ子」の確かな学力向上施策の推進では、子どもたちの学力の伸びと非認知能力に着目した「学びの基盤プロジェクト」を拡充するとともに、寺子屋方式の放課後学習支援事業や上智大学と連携した小学校外国語支援事業など、地域と連携した取組みを強化します。
 また、県内他自治体に先駆けて導入したスクールサポートスタッフの効果的な配置に努めるとともに、中学校における休日部活動の地域移行に向け、東海大学や関係団体等と協働した環境整備を進め、教員が子どもと向きあう時間の確保につなげます。市長部局において実施している生活困窮世帯の子どもへの学習支援については、教育委員会で実施している事業と一本化を図り、AI搭載の学習ドリルの活用も含め、より効果的な学習支援体制の構築を目指します。
 幼児教育・保育の質の充実としては、文部科学省の地方教育アドバイザー制度を活用するとともに、現在策定中の園小接続カリキュラム等の更なる充実を図ります。また、ほりかわ幼稚園のこども園化については、令和7年4月1日の開園に向けて、本年5月頃に、運営法人を決定します。
 さらに、旧大根幼稚園の園舎に教育研究所を移転させ、愛称を「はだのE-Lab(イーラボ)」として開設し、教育分野における「デジタル化の推進」、「不登校児童生徒の支援体制強化」、「乳幼児教育・保育支援センターを中心とした新たな幼児教育・保育の展開」の3つを柱として取り組むことで、跡地の活用と合わせて、教育研究所の機能強化を図ります。
 市民総ぐるみによる学校給食の推進では、地産地消や食育の推進を図るとともに、地域経済の活性化に向けて、関係機関との意見交換を踏まえた献立の作成や食材の調達方法等について、更なる工夫改善を図ります。
 また、児童生徒への環境教育や食育指導を進めることで、給食残さの減量化に努めます。

小田急線4駅周辺のにぎわい創造プロジェクト

 次に、「小田急線4駅周辺のにぎわい創造プロジェクト」の施策です。
 小田急線4駅周辺のにぎわい創造では、各駅の魅力ある地域資源や特色を生かし、活力溢れるにぎわいを創造するため、駅周辺市街地における、「歩いて楽しい、歩いて暮らせるまちづくり」と、駅と駅とを結ぶ観光拠点等の利活用を推進します。
 駅周辺市街地の取組みとしては、駅ごとに設けた、にぎわい創造検討懇話会での課題や意見を集約し、住民、商業者、企業、関連事業者等と行政が連携して、にぎわいのあるまちづくりに取り組むため、まちの将来の方向性を示す「未来ビジョン」の策定を進めます。
 秦野駅北口周辺においては、歩いて楽しいまちを実現するため、県道705号沿道の低未利用地や周辺の道路空間を効果的に活用するための社会実験を実施し、実効性の高い「中心市街地活性化推進計画」の検討を進めます。また、神奈川県が進める県道705号拡幅事業への積極的な協力及び支援を行うとともに、県の整備と連携し、片町通り交差点東側の市道25号線の改良事業に着手します。
 秦野駅南口においては、今泉地区の土地区画整理事業による建築物の移転補償や造成工事を進め、良好な住環境の創出と交通利便性の向上を図ることで、将来を見据えた駅周辺の活性化につなげます。
 鶴巻温泉を生かしたにぎわい創造の推進では、大山と鶴巻温泉駅を結ぶバス運行の期間を拡大するとともに、地域資源の温泉とジビエの更なる活用を図り、より一層の誘客促進につなげます。また、新たに「つるまき千の湯」の配湯を希望する旅館への配管整備を行うとともに、受湯設備の整備に対する支援を行い、温泉街の活性化につなげます。
 文化財を生かしたにぎわい創造の推進では、本町四ツ角周辺の近代建築物の国登録有形文化財への登録手続を進めるとともに、既に登録されている国登録有形文化財も含め、活用する取組みを進めます。
 渋沢丘陵を生かしたにぎわい創造の推進では、本年9月に誕生から100年を迎える震生湖について、式典等の記念事業を実施し、歴史的な価値を発信するとともに、来訪者の安全・安心の確保と魅力向上のため、太鼓橋の架け替えに向けた地質調査及び設計を行います。また、頭高山山頂付近の森林、散策道の整備を行うことで、魅力の向上につなげます。
 さらに、渋沢丘陵一帯の地域資源を生かし、「スポーツ」や「健康」を通じた地域活性化を図るため、公民連携による多目的スポーツグラウンドの整備に係る構想の策定を進めます。
 各駅間を結ぶ人の流れを生み出す取組みとしては、秦野駅、東海大学前駅、鶴巻温泉駅をつなぐ観光拠点となる弘法山公園の利活用方針を策定し、3駅周辺のにぎわい創造につなげます。
 4駅に共通したにぎわい創造の推進としては、今年度実施したプレミアム電子商品券の実績を精査し、「電子地域通貨」の導入に向けた市民や関係団体等との協議を進め、商業のデジタル化による社会・経済環境の変化に対応した地域経済の活性化を推進します

 新東名・246バイパスの最大活用プロジェクト

 次に、「新東名・246バイパスの最大活用プロジェクト」の施策です。
 表丹沢魅力づくり構想の推進では、昨年、作成した表丹沢のロゴマーク「OMOTAN」の更なる認知度向上に取り組み、表丹沢のブランド化と新たなファンの獲得につなげます。また、市民や来訪者の体験の質や満足度の向上を図るため、体験コンテンツを担う人材育成に取り組むなど、人を起点とした表丹沢の魅力づくりを推進します。
 構想エリアの東側の緑水庵周辺においては、今年度策定した「蓑毛自然観察の森・緑水庵活用指針」に基づき、駐車場を拡充するほか、蓑毛自然観察の森の散策路整備に取り組みます。
 
エリア中央に位置する表丹沢野外活動センターにおいては、指定管理者による運営を開始し、民間活力を生かした、表丹沢における自然体験の拠点づくりを進めます。また、羽根スポーツ広場用地(仮称)においては、今年度策定する「羽根森林資源活用拠点における土地利用構想(仮称)」の具現化に向け、事業計画や参画事業者の募集手法などの検討を進めます。
 エリア西側の大倉高原においては、表丹沢唯一の登山道沿いにあるテントサイトの魅力を生かし、山の日にキャンプと登山を合わせたイベントを実施することで、利用者の増加につなげます。
 また、農業者が市内で運営する農家レストランの整備や広報宣伝に係る経費への支援を行い、認定件数の増加を図るとともに、地場産農畜産物を積極的にPRすることで、更なる地産地消を推進します。
 地域特性を生かした企業誘致の推進では、引き続き、戸川地区における土地区画整理準備組合に対して技術支援を行い、組合の早期設立を目指します。西大竹地区では、市街化区域編入による産業拠点の整備を目指します。
 新たな人の流れを支えるネットワーク形成の推進では、秦野丹沢スマートインターチェンジから市街地へのアクセス性を高める新たな都市計画道路菩提横野線及び並行する矢坪沢の整備に向けた地権者との用地交渉を開始します。また、スマートインターチェンジから県立秦野戸川公園や表丹沢野外活動センターなど、表丹沢周辺の観光施設を結ぶ市道の整備を進め、周遊性を高めます。
 国道246号バイパス(厚木秦野道路)早期全線事業化・整備の促進では、未事業化区間について、神奈川県や近隣関係自治体と連携し、国に対して早期全線事業化を強く働きかけるとともに、国が行う「伊勢原西インターチェンジ(仮称)」から「秦野中井インターチェンジ」までの事業化区間の早期開通に向け、市の立場からも地元調整などに積極的に取り組みます。
 そして、本市に多くの人を呼び込むための「移住・定住活性化プロジェクト」では、本市への転入者が転出者を上回る人口の社会増加が一昨年から続く中、更なる増加につなげるため、引き続き、若者世代等の住宅購入費の一部を補助する「はだの丹沢ライフ応援事業」や空家のリフォーム補助制度により、移住・定住者を支援します。また、本市の利便性や子育て環境の良さが体験できる新たな移住お試し住宅をミライエ秦野に開設します。
 野生鳥獣のジビエ利用としては、猟友会と連携し、安定供給を図るとともに、関係者や関係団体と連携し、市内精肉店等を通じて市民や飲食店への普及促進を図ります。
 さらに、本市が誇る観光資源の一つである桜については、樹木の健全な成育を図ることで景観を守り、はだの桜みち、みずなし川緑地、そして、弘法山や頭高山など、市内全域にわたる桜の名所の魅力向上を図ります。

新たな日常創造プロジェクト

 最後に、「新たな日常創造プロジェクト」の施策です。
 最優先課題となる新型感染症対策の推進では、市民の生命(いのち)と健康を守るため、秦野伊勢原医師会などの関係機関と連携し、迅速なワクチン接種等を実施できる万全の体制を継続します。また、国が進める感染症法上の位置付けの見直しを踏まえ、引き続き、感染拡大防止と社会経済活動の両立を目指した施策を推進します。
 
市民の利便性を高めるデジタル化の推進では、市民が、いつでも、どこでも行政手続を行うことができ、必要な情報を取得できる環境を整えるため、手続のオンライン化を進めます。さらに、令和6年1月に地理情報システムの更新を行い、公開する地図情報を大幅に増やすほか、道路や都市計画、建築関連の窓口にタッチパネル等を設置し、窓口対応のデジタル化を加速させるなど、「はだのICT活用推進計画」に基づく各種取組みを推進します。
 マイナンバーカードの普及促進については、今年度創設した「出張申請おたすけ隊」による地域に出向いた申請支援を引き続き実施するとともに、カードの利便性や安全性など、必要な情報を周知することで、更なる交付率の向上を図ります。
 また、戸籍情報のネットワーク化としては、戸籍法改正により新たに導入される戸籍謄本等の広域交付や、全国の自治体間における戸籍事務内連携等を円滑に遂行できるよう、システムの整備に取り組みます。
 公民館においては、デジタルデバイド対策として、各部屋で公衆無線LANが利用できるよう、順次整備を進めます。
 自治会のICT化への取組みとしては、働きながらも自治会活動に参加できる環境づくりにつながる自治会SNS「いちのいち」の普及を進めるため、引き続き、地域での出前説明会を開催し、更なる周知を図るとともに、理解を深めていきます。
 市民に信頼される市役所改革では、意欲のある高齢期の職員の能力を最大限活用しつつ、次の世代に知識や経験を引き継ぐため、職員の定年引上げに伴う新たな人事制度の運用を開始します。さらに、障害者雇用の推進と定着化の取組みや、人事評価制度の見直しなど、誰もが活躍できる職場づくりを推進します。
 
また、本市における行政サービスの質の向上を図るため、「はだの行政サービス改革基本方針」に基づく取組みを進めるとともに、計画の中間年となる令和5年度の外部評価を踏まえ、今後の改革のあり方を検討します。指定管理者制度では、指定管理者による運営に移行した公共施設について、市民サービスの向上と効率的・効果的な管理運営を継続的に進めるため、引き続き、事業者との連携を図るとともに、鶴巻温泉弘法の里湯への導入について検討を進めます。

5つの基本目標

 引き続き、「秦野みらいづくりプロジェクト」以外の施策について、総合計画前期基本計画に掲げた5つの基本目標に沿って、説明します。

誰もが健康で共に支えあうまちづくり

 まず、「誰もが健康で共に支えあうまちづくり」の施策です。
 
健康寿命の延伸に向けた健康づくりの推進では、今年度に実施した市民の健康状況アンケート調査の結果を踏まえ、「健康はだの21」
及び「はだの自殺対策計画」について、さらに効果的な保健事業の実施につながるよう、より実効性のあるものに改定し、市民の心身の健康増進を図ります。
 保育所等の利用環境の向上では、民間保育所等における施設の老朽化に対応した改修や、保育士の負担軽減等につながるICT環境の整備への支援を行います。また、主に1歳児に対する職員配置に係る補助基準の検討を進めるなど、就学前の子どもを持つ保護者が安心して利用できるよう、質の向上に取り組みます

生涯にわたり豊かな心と健やかな体を育むまちづくり

 次に、「生涯にわたり豊かな心と健やかな体を育むまちづくり」の施策です。
 次世代を見据えた教育基盤の整備では、校務支援システムの更新の機会を捉え、GIGAスクールで導入されたタブレット端末と学習記録等を安全かつ効率的に連携させるとともに、保護者と学校間の連絡をデジタル化する統合型校務支援システムを導入し、子育て支援の充実にもつながるよう、学校教育におけるDX(デジタル・トランス・フォーメーション)を推進します。また、安全・安心で快適な教育環境づくりの推進として、土砂災害特別警戒区域に指定された渋沢中学校急傾斜面地の土砂防護柵設置工事や、西幼稚園園舎の屋上防水工事などを実施します。
 市民の文化芸術活動の振興では、クアーズテック秦野カルチャーホールの安全を確保し、利用者が安心して施設を利用できるよう、特定天井等の大規模改修に向けた実施設計を行うとともに、本市の文化芸術を振興する新たな体制づくりの検討を進めます。
 平和意識の普及・啓発の推進では、市民一人ひとりの平和を愛する心を育むため、「平和都市宣言」や「平和の日」の理念の下、市民と協働した啓発活動を展開するとともに、市民の主体的な活動を支援します。
 スポーツ活動の普及促進では、全日本女子野球連盟から認定を受けた県内初の「女子野球タウン」として、「全国女子中学生硬式野球選手権大会」を本市で開催します。また、「パラクライミング日本選手権」の開催も本市で予定されていることを踏まえ、様々なスポーツ関係団体等との連携を深め、スポーツの普及を進めます。
 スポーツ環境の充実では、女子野球の普及を進める拠点として、中栄信金スタジアム秦野のグラウンドの改修等を進めます。
 特色ある図書館活動の推進としては、郷土出身の歌人・前田夕暮の生誕140年を機に、記念事業を実施し、郷土文化の普及継承を図ります。

名水の里の豊かな自然と共生し安全・安心に暮らせるまちづくり

 次に、「名水の里の豊かな自然と共生し安全・安心に暮らせるまちづくり」の施策です。
 ごみの減量と資源化の推進では、はだのクリーンセンター1施設での可燃ごみ焼却体制へ、新年度末までに確実に移行するため、生ごみの減量や分別の徹底を推進するとともに、製品プラスチックの資源化に向けた検討に着手します。
 持続可能な都市農業の推進では、新規就農者の就農促進や、認定農業者等中核的農業者の経営基盤強化に対する支援を引き続き行うとともに、本市の立地を生かした観光農業の推進に取り組みます。また、鳥獣による農作物被害を軽減するため、ドローンを活用した地域ぐるみの環境整備及び鳥獣被害を受けにくい農作物の振興や、「鳥獣被害対策実施隊」による銃器駆除等各種対策を総合的に実施することで安心して営農できる環境づくりを推進します。
 防災・減災対策の推進では、台風、豪雨等による風水害や土砂災害の際に、要救助者の早期発見と被害状況を早期に把握するため、災害対応ドローンを導入し、水防体制等の強化を図ります。
 暮らしの安心を支える消防・救急体制の充実では、救急現場に居合わせた人から、救命への行動の連鎖が始まるよう、応急手当の知識・技術の普及を促進するとともに、増加する救急需要や新型感染症への的確な対応に努めます。
 住宅等の防火対策としては、平成23年の設置義務化から12年が経過した住宅用火災警報器について、機器の適正な維持管理に係る広報を強化するとともに、住宅火災の逃げ遅れに占める高齢者の割合が高いことから、ひとり暮らしの高齢者世帯等を対象とした機器の給付事業を開始します。
 消防通信指令事務の効率的な運用としては、令和7年度からの伊勢原市との共同運用開始に向け、指令センターの建設を着実に進めるとともに、指令システム等の整備に着手します。
 消防団施設等の充実としては、八沢地区の消防団車庫待機室を建て替えるとともに、小型動力ポンプ付積載車2台を更新し、地域防災力の強化を図ります。
 地域の交通安全対策の充実では、高齢者が関わる交通事故の割合が依然として高いことから、高齢者向けの運転適性検査を新たに実施するとともに、高齢者団体に積極的な働き掛けを行い、交通安全教室を開催するなど、交通安全意識の向上を図ります。
 安心できる消費生活の支援、市民相談の充実では、高齢者やその見守りをする方を対象とした、消費者トラブルに関する啓発事業を定期的に実施することで、地域での見守り体制を強化するとともに、消費生活センターに寄せられる多様な相談に適切に対応するなど、引き続き、消費者の安全と安心を確保するための取組みを実施します。

住みたくなる訪れたくなるにぎわい・活力あるまちづくり

 次に、「住みたくなる訪れたくなるにぎわい・活力あるまちづくり」の施策です。
 
地域を結ぶ公共交通ネットワークの確保・維持では、人口減少に加え、新型感染症の影響により利用者が減少し、厳しい経営状況下にある乗合タクシー等の運行を支援します。また、バスやタクシーといった既存の公共交通を最大限に活用したうえで、多様化する移動ニーズに対応した持続可能な公共交通施策を推進するため、「地域公共交通計画」を策定します。
 地域に根ざした活力ある工業の振興では、新型感染症の影響を受けている中小企業を対象に、引き続き、利子補給などの金融支援を行い、経営の維持・安定を図ります。また、中小企業の脱炭素及び事業の効率化を促進するため、「脱炭素設備等導入促進資金融資制度」を創設し、省エネルギー・再生可能エネルギー設備を導入する企業を支援します。
 空家等の適正管理と活用では、「空家等の適正管理に関する条例」に基づく指導や補助制度による支援を行い、所有者による空家等の適正な管理及び活用を促進します。

市民と行政が共に力を合わせて創るまちづくり

 最後に、「市民と行政が共に力を合わせて創るまちづくり」の施策です。
 多様な担い手による協働の推進では、専門的な知識・ノウハウを有する民間企業から、社員及びその人件費を寄附として受け入れる、「企業版ふるさと納税人材派遣型制度」を県内で初めて活用し、公民連携による地方創生の充実・強化に努めます。また、大学や民間企業等との更なる連携強化に努め、産学公民連携によるまちづくりを推進します。
 さらに、地域コミュニティによるまちづくりを推進するため、自治会を中心とする地域住民で組織された「各地区まちづくり委員会」の活動や運営に対する支援を拡充します。
 広報・広聴活動の充実とシティプロモーションの推進では、広報はだのやSNSなどの各種媒体に加え、「はだのふるさと大使」の活用などにより、「ふるさと秦野」への誇りと愛着を育む魅力発信の取組みを進めるとともに、市民等からの幅広い意見を聴取し、市政運営へ的確に反映します。
 人権を尊重し多様性を認めあう社会づくりの推進では、性的少数者や事実婚の方々が、自分らしく生きていくことを応援するため、パートナーシップ宣誓制度を導入します。
 将来を見据えた市政運営の取組みとしては、令和8年度を初年度とする総合計画後期基本計画の策定に向け、基礎となる市民意識や社会経済動向等の調査・分析に取り組みます。
 令和7年1月1日に迎える市制施行70周年に向けては、記念事業等の幅広いアイデアを募るための市民ワークショプや市民企画会議を開催するとともに、象徴となるロゴマークを広く募集し、作成するなど、その機運醸成に努めます

 以上、私の令和5年度における市政に臨む基本方針と主な施策について述べました。この方針の下、「ふるさと秦野」のさらに輝く未来を切り開くため、誠心誠意、取り組んでまいりますので、皆様の御理解・御協力をお願い申し上げます。

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所属課室:政策部 総合政策課 政策調整担当
電話番号:0463-82-5101
FAX番号:0463-84-5235

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