コンテンツにジャンプ メニューにジャンプ

トップページ > 市政情報 > 財務 > 令和3年度 >令和3年度秦野市長施政方針

令和3年度秦野市長施政方針

問い合わせ番号:16140-4916-3915 登録日:2021年2月26日

シェア

 2月26日(金曜日)に開会した令和3年3月第1回定例会の冒頭に令和3年度施政方針を述べさせていただきました。

秦野市長 高橋昌和

shiseihoushin

 

はじめに

 施政方針に先立ちまして、新型感染症への対応のため、最前線で力を尽くされている医療・介護従事者や関係機関の皆様を始め、感染症の拡大防止にご協力いただいている全ての市民の皆様に対し、深く感謝申し上げます。

 また、感染し、療養されている方におかれましては、1日も早い回復をお祈りいたします。 

 令和3年度の一般会計予算案をはじめ、諸案件を提案するに当たり、私の市政に臨む基本方針と主な施策について述べさせていただきます。

 今、国民が一丸となって、新型感染症と対峙している最中(さなか)、収束への大きな効果が期待されるワクチン接種に向け地方自治体、医療関係者等が一体となり体制整備を進めています。

 市民の期待に応え、安全かつ迅速なワクチン接種に努め、一日も早い平穏な暮らしにつながるよう、全力を尽くしてまいります。 

 昨年12月、日本中が固唾を飲んで見守る中、6年もの壮大な旅から帰還した「はやぶさ2」が、未知の領域へ新たなミッションに旅立ちました。

 私は、その雄姿を目の当たりにし、ポストコロナの新しい社会と新総合計画「はだの2030プラン」のスタートを重ね合わせ、新しい都市像 「水とみどりに育まれ誰もが輝く暮らしよい都市(まち)」の実現を目指しまちづくりへの決意を新たにしました。

 先人たちのたゆまぬ努力によって築かれた「ふるさと秦野」を礎として、私が市長就任時に誓った「未来へつなぐ5つの重点事業」をはじめ、今を生きる多くの市民の思いや願いを形にした新総合計画の具現化に向かって、市民の皆様と心を一つにして取り組んでまいります。

3つのまちづくりビジョン

 そこで、新年度の市政運営に当たっては、都市像の実現に向け、3つの「まちづくりビジョン」をもって、最初の一歩を踏み進めてまいります。

水とみどりに育まれたふるさとづくり

 1つ目は、「水とみどりに育まれたふるさとづくり」です。

 国際社会が重要課題に掲げている気候変動は、地球温暖化の影響とも言われています。国は成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げ、エネルギー分野のグリーン化を促進させることにより、2050年までに脱炭素社会を目指しています。

 みどり豊かな表丹沢やその恵みがもたらす日本一の名水は、無限の可能性を秘めています。自然に恵まれた本市だからこそ、都市像を43年ぶりに改定したこの機会に、“地球温暖化の問題を見つめ直すときである”との思いを強くしています。

 先人が大切に守り育ててきた森林里山を最大限活用することで、名水の保全はもとより、木材の活用促進や再生可能エネルギーの導入といった地域の活力を引き出すための好循環を生み出し、ひいては、気候変動対策にも貢献できるものと考えています。

 さらに表丹沢の奥山から相模湾の大海原までを俯瞰(ふかん)すると、隣接する市町村「森・里・川・海」の自然的なつながりのもとで、人や資源が交流する地域循環共生圏形成視野に入ります。

 広域的な連携も見据えながら、未来の子どもたちへ私たちの命の源である「水とみどり」を引き継ぐことができるよう、秦野らしい足元からの取組みを広め、2050年までに本市の二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」に挑戦してまいります。

誰もが輝くふるさとづくり

 2つ目は、「誰もが輝くふるさとづくり」です。

 百年の計は人づくりから始まると言われますが、人は地域社会にとってかけがえのない財産であり、まちづくりの主人公です。

 人生100年時代を迎え、人口減少、少子高齢化がさらに加速化していく中での社会経済構造の大きな変化に合わせ、健康寿命を延ばす取組みとともに、誰もが思う存分その能力を発揮できる一億総活躍社会や全世代が安心できる社会保障制度の構築が進められています。

 障害福祉の父と呼ばれた糸賀(いとが)一雄(かずお)氏は、重度の障害児であっても、その子なりの自己実現の形があること、その生きる姿には周囲を動かす力があるとの信念もと、「この子らに世の光を」ではなく、「この子らを世の光に」と全ての人が互いに認め合える社会を目指し、今日の社会福祉の進展に大きく寄与されました

 こうした地域共生社会の根本とも言える理念にならい、障害のある人もない人も、子どもから高齢者までの全ての世代や経済活動を営む事業者など、市民の誰もが夢と希望を持ち、生き生きと活躍することができる、持続可能なまちづくりに取り組んでまいります。

 いよいよ、新年度は、東京五輪の開催や新東名高速道路(秦野区間)の開通により、本市が将来にわたって輝き続けるための大変重要な1年となります。

 現在、優先的に取り組んでいる「表丹沢の魅力づくり」と「小田急線4駅周辺のにぎわいづくり」については、地域資源の磨き上げとその連携をさらに強化するとともに、地域力と民間の力を最大限に活用した地域活性化策を取り入れ、まちに多くの人が集い、訪れ、笑顔が行き交い、誰もが輝く「元気なふるさと秦野」を創造してまいります。

安全・安心で暮らしよいふるさとづくり

 3つ目は、「安全・安心で暮らしよいふるさとづくり」です。

 昨年度の施政方針では、「市民の安全・安心を守る」という、私のまちづくりの原点に立ち返る思いを述べさせていただきましたが、近年激甚化する風水害と、切迫性が指摘される巨大地震などの大規模自然災害への備えや対策は、引き続き最優先の課題です。

 加えて、感染症対策では、サプライチェーンの偏りによるマスク、医薬品の供給不足やデジタル化の遅れなど、様々な社会システムの課題が浮き彫りとなり、改めて、市民の安全で安心な暮らしの重要性を痛感しているところです。

 今なお、予断を許さない医療提供体制や景気動向も極めて厳しい状況にある中、これまで本市の総力を挙げて実施してきた「健康と医療」、「日々の暮らし」、「地域経済」を守るという3本柱での対策をさらに充実させ、市民と共にこの未曽有の危機を乗り越えていきたいと思います。

 気候変動に対応した災害に強いまちづくりを進めるとともに、新たな日常を見据えた中で、行政のデジタル化を積極的に推進し、市民の命と暮らしを守る安全・安心で快適なまちづくりに取り組んでまいります。

新たな都市像の実現に向けて

 年頭に当たり、我が「ふるさと秦野」の新しい船出であり、私の市長任期の最終年に挑む漢字として「(しゅう)」の一文字掲げました

 3年間で種をまいた取組みを大きな果実として余すことなく収穫し、明日の市政につなげるとともに、全身全霊を傾けて、感染症収束への取組みを進めていくという不退転の決意を込めています。

 新たな都市像の実現に向け、16万4千市民のリーダーとして、市民一人ひとりの声を大切にしながら市民力を結集するとともに、職員力を総動員し、市政運営に取り組んでまいります。

令和3年度の取組み

 令和3年度当初予算は、この3つの「まちづくりビジョン」のもとに、「市民の命と暮らしを守る施策」を最優先に位置付けるとともに、「ふるさと秦野を磨き上げる施策」を地域活性化策の柱に据え、「新たな都市像の実現に向け「ふるさと秦野」を創造する予算」として編成しました。

 それでは、令和3年度の主な取組みについて、本年4月からスタートする新総合計画に掲げた5つの基本目標に沿って、説明します。

誰もが健康で共に支えあうまちづくり

 まず、「誰もが健康で共に支えあうまちづくり」の施策です。

 感染症対策では、ワクチン接種について、医療機関との連携により、万全の体制を整え、国からワクチンの提供があり次第、診療所などの医療機関による「個別接種」と総合体育館での「集団接種」を安全かつ迅速に実施します。

 地域医療の充実・強化では、秦野赤十字病院、神奈川病院をはじめ、各医療機関、神奈川県、関係機関等とも連携し、市民が必要なときに、適切な医療を安心して受けられるよう、取り組んできました。

 中でも、秦野赤十字病院では、新年度に現在1名の常勤小児科医師が2名増員され3名体制となり、これにより入院や二次救急の受入れへの見通しがつき、また、悲願である分娩業務の再開にもつながる大きな一歩となることから、同病院の小児医療体制の拡充に対して支援します。

 また、神奈川県が進めている平塚保健福祉事務所秦野センターの移転・建替えの検討に対しては、感染症対策をはじめとする本市の保健衛生及び医療体制のより一層の強化や市民の利便性向上の観点から、寿町地内の市有地への誘導を図るなど、協力・連携して取り組みます。

 健康寿命の延伸に向けた健康づくりの推進では、「健康はだの21」の改定に向けて、市民の健康に対する意識を把握するための調査を行います。がん検診については、これまでの事前登録制を随時申込制に変更し、検診を受けやすい方法に見直します。

 互いに尊重し共に支えあう地域づくりの推進では、住み慣れた地域で心豊かな暮らしができるよう、「地域共生支援センター」を拡充します。さらに、子ども、高齢者、障害者、生活困窮者等を対象とする各専門分野に精通する構成員から意見や助言を求める「地域共生ネットワーク協議会」を設置し、包括的な支援体制の整備と地域の多様な力を結集した体制を強化します。

 高齢者等への支援の充実では、医療、介護予防、生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムの推進を図ります。また、長寿社会を迎え、働く意欲のある高齢者が、豊かな経験と能力を生かし、生涯現役で活躍し続けることができるよう、雇用促進を図ります。

 障害者への支援の充実では、地域生活支援拠点の運営への支援を通じて、就労や相談事業を実施するとともに、地域活動への参加を促進します。

 生活困窮者への支援の充実では、感染症の影響により収入が減少するなど、家賃が払えず住居を失うおそれがある世帯に対し、引き続き、住居確保給付金の支給を行うとともに、自立相談支援事業により、状況に応じた支援制度へつなぐなど、きめ細やかな対応に努めます。

 結婚・妊娠・出産・育児までの切れ目のない支援の充実では、若い世代への結婚支援について、国、県等の施策や民間団体、企業等との連携など、幅広い視点から具体的施策の検討を進めます。

 母子支援の拡充としては、安心して出産ができるよう、双子などの妊婦健康診査費用の助成回数を上乗せするほか、本市直営に加えて民間の助産院による日帰り及び訪問型の産後ケア事業を開始し、産前産後のリスク回避を図ります。また、季節性インフルエンザの予防接種費用の助成対象として、昨年の小児に加え、妊婦にも拡大します。

 保育所等利用環境の向上としては、待機児童を解消するため、新たな民間保育所の整備を支援します。また、公立認定こども園にタブレット端末等を導入し、保護者との連絡機能を強化するほか、保育教諭の事務負担を軽減し、教育・保育の質の更なる向上に取り組みます。

 さらに、第2期「子ども・子育て支援事業計画」に基づき、現在8か所ある「ぽけっと21」等について、就園前の子どもと保護者が、より身近な地域で支援を受けられるよう、出張形式による新たな交流の場を1か所開設します。

 支援を必要とする子ども・家庭への対応では、子どもの健やかな成長のため、引き続き、心理的側面に寄り添う支援の充実を図り、児童虐待の発生予防、早期の発見と対応に努めます。また、生まれ育った環境に左右されることなく、将来に夢や希望を持てるよう、新たに、ひとり親家庭等の子どもへの家庭学習支援を始めます。

生涯にわたり豊かな心と健やかな体を育むまちづくり

 次に、「生涯にわたり豊かな心と健やかな体を育むまちづくり」の施策です。

 中学校給食の完全実施では、本年12月の開始に向け、学校給食センターの建設やコンテナ配送用エレベーターの設置、食器や什器(じゅうき)の調達などの環境整備を進めるとともに、保護者の給食費納入の利便性向上や教職員の多忙化解消を図るため、公会計による徴収及び管理を実施します。

 あわせて、農業協同組合や商工会議所と連携し、学校給食における食育や地産地消の取組みを推進することにより、地域経済の好循環を促進させます。

 教育水準の改善・向上では、学校における働き方改革の推進とあわせて、学力向上アドバイザーの招へいや企業のノウハウを生かした公民連携による授業改善に取り組みます。また、園小中一貫教育を軸とした、学習意欲を支える力となる非認知能力の育成、寺子屋方式による放課後の学習支援の実施など、「新たな学びプロジェクト」を展開します。

 次世代を見据えた教育基盤の整備では、昨年12月に児童生徒に一人1台の情報端末の配置が完了したことを受け、教職員への技術的支援を行うICT支援員を配置するとともに、デジタル教科書の導入に向けた環境整備を推進します。

 幼児教育・保育の質の充実では、持続可能な幼児教育・保育環境を整備するため、園小接続カリキュラムの作成や「幼児教育保育支援センター」の創設に向けた検討を行うとともに、公立幼稚園の再編に取り組みます。

 教育施設の整備では、西中学校体育館等施設整備事業として、テニスコートや周辺道路整備などの関連工事を実施し、本年12月の事業完了を目指すほか、小中学校トイレ快適化第二次整備事業について、北小学校をはじめ6校のトイレの洋式化工事を実施することにより、全小中学校での整備を完了させます。

 学校施設の安全確保対策では、つり下げ式のテレビを撤去するとともに、照明器具や窓ガラスといった非構造部材の耐震点検を実施します。

 生涯学習活動の推進では、環境問題をはじめとした現代的かつ社会的課題を的確にとらえた講座を開催し、市民の学びの場を広げます。

 文化芸術活動の振興では、宮永岳彦記念美術館の開館20周年の記念事業などを実施し、質の高い文化芸術に触れる機会の提供に努めます。

 また、クアーズテック秦野カルチャーホール(文化会館)の事業では、本市ゆかりの方々に関わっていただきながら、幅広い文化芸術活動を通じて、本市の魅力を広く発信します。

 文化財の保存・活用では、市内の文化財をふるさと大使と共に巡るまち歩きを開催します。また、寄贈された史料を後世へ引き継ぐため、修復するとともに、幅広く活用ができるよう、計画的にデジタル化を図ります。

 スポーツ・レクリエーション施策では、東京五輪の開催に当たり、小中学生などに世界のトップアスリートのプレーを直接観戦する機会を設けます。また、本市の「平和の(ともしび)」をパラリンピックの聖火として神奈川県に送り出す「パラリンピック聖火フェスティバル」を「ピースキャンドルナイト」にあわせて開催し、平和意識の普及啓発も図ります。

 大会後には、選手村ビレッジプラザに提供したヒノキが戻ってきますので、市民がその誇りと温もりを身近に感じられるような有効活用を進め、秦野産木材の更なる利用促進を図ります。

 令和4年度に延期となった「ねんりんピックかながわ2022」については、その開催に向けて、リハーサル大会や関係団体との調整・協議等を行います。

 スポーツ施設等の整備では、利用者の安全性及び利便性の向上を図るため、おおね公園温水プール棟の熱源機器及び総合体育館メインアリーナの音響設備装置を更新します。

名水の里の豊かな自然と共生し安全・安心に暮らせるまちづくり

 次に、「名水の里の豊かな自然と共生し安全・安心に暮らせるまちづくり」の施策です。

 地球温暖化対策の推進では、二酸化炭素を吸収する森林の保全再生を進めるとともに、ライフスタイルの見直しなど、身近な取組みを意識して実践することを推進します。また、「ゼロカーボンシティ」の実現に向けては、温室効果ガスの排出抑制と、激甚化する風水害に強いまちづくりを柱とした「(仮称)地球温暖化対策実行計画」を策定します。その計画に基づく取組みの一つとして、地域のバイオマスを活用した産業創出と地域におけるエネルギー循環の実現を目指した仕組みづくりを検討します。

 市民共有の財産である「秦野名水」の保全と利活用では、「地下水総合保全管理計画」に基づき、健全な水循環に配慮した利活用を進めるとともに、名水拠点の整備やイベントの実施により、「名水の里秦野」の魅力を 発信します。

 ごみの減量と資源化の推進では、持続可能な循環型社会の実現に向けた取組みの指針となる「ごみ処理基本計画」を改定します。そして、更なる可燃ごみの減量や分別の徹底に取り組むとともに、市内全事業者への訪問調査を進め、適正な廃棄物処理を促進することにより、クリーンセンター1施設体制への早期移行を目指します。

 農業振興では、はだの市民農業塾の実施や農福連携による多様な担い手の確保・育成を図るほか、農家レストランの設置を促進するなど、更なる地産地消の推進に取り組みます。また、鳥獣被害対策では、地域の実情に応じて、環境整備、防除、捕獲を組み合わせた効果的な被害対策を進めるとともに、ジビエの利用に向けたニーズ調査を実施します。

 森林(もり)づくり施策では、引き続き、神奈川県やボランティア団体等と連携した森林整備及び里山保全再生活動を進めるほか、鳥獣被害やナラ枯れ等の課題解決に向けた里山林整備の調査を実施します。

 また、森林セラピーでは、プログラムの充実や人材育成を図りながら、5つのコースでイベントを展開し、癒やしの効果を持つ森林の魅力を発信していきます。

 防災・減災対策の推進では、激甚化・多発化する自然災害を教訓として、室川の護岸整備や堀水路などの適切な維持管理に努めるとともに、倒木や宅地内への土砂流入被害の未然防止と早期復旧を支援する、市独自の補助制度を新たに設けます。また、迅速かつ適切に避難行動がとれるよう、防災マップ・ハンドブックをリニューアルするとともに、水路や河川に監視カメラ付きの水位計を増設します。

 消防・救急体制の充実では、昨年開設した救急ワークステーションへの派遣職員を増やし、救急救命士の育成を図ります。また、大人がいない状況でも、子どもが自分の身を守り、尊い命を救えるよう、10代の子どもたちを中心に応急手当の知識・技術を普及します。さらに、消防と救助に活用できるポンプ付救助工作車を消防署鶴巻分署へ新たに配備するとともに、大根分署の高規格救急自動車を更新することで、増加している救急需要に的確に対応します。

 消防業務の効率化と情報の一元化では、本市及び伊勢原市における消防通信指令事務について、令和7年度からの共同運用開始に向け、施設整備に取り組みます。

 消防団に関する施策では、地域防災力の強化を図るため、老朽化が進む車庫待機室の建替えや車両の更新を行います。また、地域防災力を最前線で支えていただいている消防団員の士気高揚と入団促進のため、消防団サポートショップの拡充や処遇の見直しを図ります。

 防犯対策の充実では、新東名高速道路の開通に伴う交通動態の変化などを見据え、防犯カメラの効果的な配置を進めます。また、近年その手口が多様化している特殊詐欺をはじめとした犯罪に対しては、警察、防犯ボランティア、自治会等と連携し、被害の未然防止に努めます。

 交通安全対策の充実では、依然として高齢者が関わる交通事故の割合が高いことから、引き続き、高齢者を対象に、ドライブレコーダーを活用した運転診断を行い、安全運転に関する啓発活動を実施します。

 市民相談の充実では、高齢者や障害者がトラブルに遭わないよう、見守り体制を強化し、地域ぐるみで被害の未然防止に取り組むとともに、消費生活センターに寄せられる多様な相談に対応します。

 犯罪被害者への支援では、犯罪に遭われた方やその家族が、必要な支援を確実かつ継続的に受け、安心して暮らせる地域社会の実現を目指す、犯罪被害者等を支援する条例の制定に向けて準備を進めます。

住みたくなる訪れたくなるにぎわい・活力あるまちづくり

   次に、「住みたくなる訪れたくなるにぎわい・活力あるまちづくり」の施策です。

 小田急線4駅周辺のにぎわい創造では、地域特性を生かした商業活動を支えるとともに、駅周辺の商業系用途地域における低・未利用地などに、高度な土地利用を促進させる市独自の誘導策や仕組みを検討し、民間活力を生かした地域経済の活性化と市民生活の利便性向上を図ります。

 駅と駅との間の地域資源をつなぐ取組みでは、小田急線からのアクセスが良く、気軽に自然を楽しめる渋沢丘陵の利活用方針を策定します。 また、拠点となる震生湖の散策路整備を継続し、歴史的な震災遺構としての国登録記念物の登録に係る解説板を設置するとともに、頭高山へ続くハイキングルートへの周遊性を高めます。

 本市が誇る観光資源の一つである桜については、適切な維持管理により、樹木の健全な成育を図ることで景観を守り、はだの桜みち、みずなし川緑地、そして、弘法山や頭高山など、市内全域にわたる桜の名所の魅力向上を図ります。

 これらの新たな取組みに加え、引き続き、4駅周辺の特色を生かした取組みも充実させていきます。

 鶴巻温泉駅周辺では、大山と駅を結ぶバスの季節運行など、地元と連携した活性化事業を継続するほか、オープンから20周年を迎える、鶴巻温泉弘法の里湯において、入館者300万人達成の記念イベントを予定しています。

 東海大学前駅周辺では、新年度内の完成に向けて、北口でのエレベーターとエスカレーターの設置を進めるとともに、駅へつながる市道9号線及び市道65号線の改良を行い、安全な歩道整備を進めます。また、神奈川県に対し継続的に要望している東海大学駅前交番の南口広場内への移転について、新年度内に開所されるよう、必要な協力をしていきます。

 秦野駅周辺では、北口において、神奈川県が進める県道705号の拡幅事業に対して、引き続き、積極的な協力及び支援により事業の促進を図るとともに、地元との連携により、まちの再生に向けた取組みを進めます。

 さらに、魅力ある文化資源を掘り起こすため、本町四ツ角周辺の近代建築物の国登録有形文化財への登録を促進していくとともに、既に登録されている文化財を活用する取組みも進めます。また、南口では、今泉地区において、土地区画整理事業による建築物の移転補償や造成工事を進めるとともに、隣接する住宅区域について、公共下水道に係る整備方針を策定し、将来を見据えた駅周辺の活性化と良好な住環境の創出につなげます。

 渋沢駅周辺では、昨年11月にリニューアルした「はだの歴史博物館」を情報発信の拠点として、本市の歴史や文化を紹介していく事業を実施します。

 新東名・246バイパスの最大活用として、「表丹沢魅力づくり構想」の推進では、登山やサイクリングなどの山岳スポーツのほか、キャンプ・バーベキューをはじめとしたアウトドア・アクティビティ、また、食や農業体験、歴史・文化遺産巡りなどを組み合わせながら、1年を通じて表丹沢の魅力が体験できる仕組みづくりに取り組みます。さらに、利用者視点に立った効果的な情報の発信と交流にもつながるホームページを構築することで、誰もが行ってみたくなる「都心から近い山岳・里山アクティビティの聖地」としてブランド化し、全国屈指の森林観光都市を目指します。

 また、構想エリアの東側のヤビツ峠レストハウスでは、登山やサイクリングなどの本格的な体験を支える場とするとともに、周辺の資源や民間事業者とも連携することで、地域の活性化にもつながる新たな拠点としていきます。一方、西側の拠点の一つである大倉高原では、老朽化した建物の解体のほか、水場の修繕や環境配慮型山岳公衆トイレの整備を実施することで、テントサイトとしての魅力を生かした拠点づくりを推進します。

 都市形成と基盤整備の推進では、引き続き、戸川地区及び西大竹地区における土地区画整理準備組合に対して技術支援を行い、組合の早期設立と両地区の市街化区域編入による産業拠点の整備を目指します。

 新たな幹線道路ネットワークの形成では、新東名高速道路(仮称)秦野サービスエリア・スマートインターチェンジから市街地へのアクセス性を高める構想路線及び並行する矢坪沢の整備に向けた測量を実施します。また、周辺の安全性及び利便性の向上を図るため、市道の再整備を進めます。

 そして、新東名高速道路の開通前には、市民の皆様と開通を祝うためのイベントを開催します。

 国道246号バイパスは、東名高速道路と新東名高速道路との連結により、災害時の重要路線になるとともに、本市経済の発展に大きく寄与することが期待されます。そこで、国が行う「(仮称)伊勢原西インターチェンジ」から「秦野中井インターチェンジ」までの早期の完成に向けて、事業区間における地元調整などに積極的に取り組んでまいります。また、未事業化区間についても、神奈川県や近隣関係自治体と協力し、国に対して全線事業化を強く働き掛けていきます。

 公共交通ネットワークの確保・維持では、感染症の影響で利用者が減少し、厳しい経営状況が見られる乗合タクシーの運行を支援するとともに、公共交通の利用促進を図ります。

 工業振興では、感染症の影響により事業資金の融資を受けた中小企業を支援するため、利子補給を拡充し、経営の安定化を図ります。また、中小企業の事業継続に向けた積極的なチャレンジや、既存技術を生かした新たな事業展開を後押しするため、引き続き、補助を行い、新製品や新技術の研究開発を促進します。さらに、就労支援として、ふるさとハローワークをはじめとする関係機関と連携し、求職者の事情に応じたカウンセリングや講座の開催など、きめ細やかな支援に努めます。

 商業振興では、既存の商店街空き店舗活用事業や商店街店舗魅力アップ事業において、新しい生活様式に対応する働き方を踏まえたコワーキングスペースの改装等にも支援を拡充し、魅力ある店舗の増加につなげます。

 空家の活用では、空家を移住お試し住宅として活用するモデル事業を実施し、ゆとりのある暮らしを求める方を対象に、テレワークなどの方法で仕事をしながら、短期間滞在し、本市の魅力を体感していただき、移住・定住につなげていきます。 

市民と行政が共に力を合わせて創るまちづくり

 最後に、「市民と行政が共に力を合わせて創るまちづくり」の施策です。

 多様な主体との協働の推進では、新総合計画に定める地域まちづくり計画を推進する支援体制を強化するため、市内8地区に「地域まちづくりコーディネーター」を配置するとともに、まちづくり事業交付金を拡充します。また、自治会が地域コミュニティの形成・維持に欠かせない役割を果たしていることから、加入率の向上に向けて、自治会連合会への支援と連携を強化します。

 さらに、東海大学が中心となる一般社団法人により発表されたプロジェクト「カナガワウェルネス コリドー」に対しては、持続可能なまちづくりと地域の活性化につながるよう、積極的に連携していきます。

 広報・広聴活動の充実では、市政情報等の発信や市民からの意見、要望の把握に当たり、SNSなどの時代に合った手法を積極的に活用することで、更なる広報と広聴の連携を図る取組みを推進します。

 開かれた市役所づくりの推進では、人材育成として、市民の期待に応え、信頼される職員(ひと)づくりを進めるとともに、新しい生活様式に対応するための勤務体制や職場環境の改善を進めます。さらに、職員の定年引上げについて、国の検討状況を踏まえながら、準備を進めます。

 持続可能な行政経営の推進では、人口や経済が縮小しながらも、地域の営みや市民生活が充実したものになっていく「縮充社会」の実現を目指し、「はだの行政サービス改革基本方針」に基づく取組みを進めます。また、ICTの積極的な活用を推進し、インターネットを利用した申請や届出事務の拡充により、窓口に来庁することなく、いつでも、どこでも必要な手続が行える市役所を目指すとともに、閲覧用図面の電子化を進め、市民サービスの向上を図ります。

 公共施設の再配置の推進では、「公共施設再配置計画第2期基本計画」を本年5月末に策定し、この計画を基礎として市民の皆様の意見を広く聴き、施設の再配置の具体的な方向性を定める「実行プラン」の策定作業を引き続き進めます。また、公共施設の効率的な管理運営と市民サービスの向上を図るため、カルチャーパーク及びおおね公園のスポーツ・公園施設、並びにクアーズテック秦野カルチャーホールについて、令和4年度からの指定管理者制度の導入を目指します。

 入札制度では、公正で競争性、透明性を確保しつつ、頑張る地元事業者からの優先調達を基本とし、工事発注の平準化を推進します。また、災害復旧工事に対するインセンティブ発注要件の見直しなどを進め、市内事業者の育成・確保に努めます。

 自主財源の確保策では、はだのふるさと寄附金について、広報媒体の効果的な活用や積極的な周知により、リピーターの確保や新規寄附者の開拓に取り組むほか、企業版ふるさと納税の活用を進めます。

 以上、私の令和3年度における市政に臨む基本方針と主な施策について述べました。

  この方針の下、コロナ禍という難局に立ち向かい、困難なときであっても、市民一人ひとりが夢と希望を持ち、生き生きと暮らし、まちの活力が維持できる、持続可能なまちづくりに全力で取り組んでまいりますので、皆様の御理解・御協力をお願い申し上げます

各会計予算案

 引き続き、令和3年度の各施策を支える一般会計をはじめ、各会計の予算案について説明します。

 6会計全体の予算額総額は、933億7,600万円、昨年度に比べ 1.1パーセントの増となっています。

 まず、「議案第1号・令和3年度秦野市一般会計予算を定めることについて」であります。

 歳入歳出予算の総額は、524億3,000万円で、昨年度に比べ17億円、3.4パーセントの増となっています。

 歳入は、個人、法人市民税が感染症や、税制改正に伴う法人税割の税率引下げの影響などにより、市税全体では昨年度より15億1,000万円減の214億円で2年連続の減収となります。一方で、税収減に伴い普通交付税は、6億4,000万円増の35億8,000万円としました。

 歳出は、少子高齢化の進行などにより扶助費や繰出金のほか、感染症のワクチン接種に係る経費が増加しました。一方で、建設事業費は、秦野駅南部(今泉)土地区画整理事業や東海大学前駅北口エスカレーター、エレベーターの設置など都市基盤整備を着実に進めるものの、西中学校多機能型体育館の大型事業の完成などにより、昨年度に比べ4.8パーセントの減となります。

 なお、財源補填として、これまで備えてきた財政調整基金は、昨年度に比べ、5億6,594万円増の11億7,180万円を取り崩します。また、市債は、4億4,420万円増の36億6,120万円とし、そのうち臨時財政対策債は、3億7,000万円増の24億7,000万円としました。

 次に、「議案第2号・令和3年度秦野市水道事業会計予算を定めることについて」であります。

 予算総額は、32億3,000万円で、昨年度に比べ3億8,100万円、10.6パーセントの減となっています。企業債は、5億2,490万円を限度額として借入れを行います。

 感染症の拡大に伴う影響から、料金収入の低下など、新年度も厳しい経営を強いられることとなりますが、新総合計画と連動するように見直した、施設整備計画及び財政計画の初年度として、着実に施設の耐震化や整備に取り組み、ライフラインを提供する公営企業として、安全な水の安定供給と事業経営に努めます。

 次に、「議案第3号・令和3年度秦野市公共下水道事業会計予算を定めることについて」であります。

 予算総額は、52億4,700万円で、昨年度に比べ2億7,800万円、5.0パーセントの減となっています。企業債は、6億7,370万円を限度額として借入れを行います。

 水道事業同様、感染症の拡大に伴う影響から、新年度も厳しい経営状況を強いられることとなりますが、新総合計画と連動するように見直した、施設整備計画及び財政計画の初年度として、着実に施設の耐震化や浸水対策に取り組み、ライフラインを提供する公営企業として、安定的な汚水処理と事業経営に努めます。

 次に、「議案第4号・令和3年度秦野市国民健康保険事業特別会計予算を定めることについて」であります。

 予算総額は、170億2,000万円で、昨年度に比べ3億400万円、1.8パーセントの減となっています。

 一人当たりの医療費の増加が見込まれる中、財政運営の責任主体である神奈川県と連携し、安定的で健全な国民健康保険事業の運営に取り組みます。

  次に、「議案第5号・令和3年度秦野市介護保険事業特別会計予算を定めることについて」であります。

 予算総額は、129億300万円で、昨年度に比べ2億4,300万円、1.9パーセントの増となっています。

 「第8期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」に掲げた、地域包括ケアシステムの深化・推進や認知症施策などに取り組むとともに、新たに、在宅医療と介護の提供体制の構築のため、介護・医療従事者向けの専門相談窓口の充実に取り組みます。また、保険者として、適正な介護保険給付に努め、安定的な介護保険事業の運営に取り組みます。

 最後に、「議案第6号・令和3年度秦野市後期高齢者医療事業特別会計予算を定めることについて」であります。

 予算総額は、25億4,600万円で、昨年度に比べ8,100万円、3.3パーセントの増となっています。

 高齢者の自立した生活を実現し、健康寿命の延伸を図っていくため、新たに高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に取り組みます。また、県内全ての市町村が加入する広域連合と連携し、後期高齢者医療事業の健全な運営に取り組みます

このページに関する問い合わせ先

所属課室:政策部 総合政策課 政策調整担当
電話番号:0463-82-5101
FAX番号:0463-84-5235

このページに関するアンケートにお答えください

このページは見つけやすかったですか?
このページの内容はわかりやすかったですか?
このページの内容は参考になりましたか?