●8月1日号2面 広報はだの 平成26年(2014年)8月1日 2 広島の地で誓った思い  戦後50年の節目を迎えた平成7年に始まった親子ひろしま訪問団。戦争の悲惨さや平和の尊さを忘れないために、毎年8月6日に被爆地の広島を訪れている。 「炎天下、平和記念式典に参列しました。厳かな雰囲気の中での黙祷、静かに響く祈りの鐘の音が、今でも忘れられません」  洋子さん(渋沢上一・62歳)は、当時中学1年生だった千尋さん(平塚市・32歳)と参加した夏の日を振り返る。娘に、自分の目で確かめ、平和について考えてほしいと思ったことがきっかけだった。原爆ドームや平和記念資料館などを見学したり、被爆者の体験談を聴いたりして、戦争の残酷さを肌で感じたという。  中でも印象深かったのは、千羽鶴をささげるため、広島平和記念公園「原爆の子の像」へ行ったときのこと。別名「千羽鶴の塔」とも呼ばれる場所に並べられた折り鶴を目の当たりにし、洋子さんと千尋さんは、思わず息をのんだ。 「色とりどりの数えきれない鶴は美しく、平和の象徴のようでした。添えられたメッセージにも胸が熱くなりました」  目を閉じて思いをはせる洋子さん。悲惨な時代を繰り返させないと誓い、「来年もこの地に自分たちの千羽鶴をささげよう」と心に決めた瞬間だった。 教えられた命の重み 「私と同じ年頃の子供が、一瞬にして無残な姿になったことを知り、憤りすら覚えました」  20年前、平和記念資料館で見た生々しい惨状がいまだに忘れられないと話す千尋さん。当時、漠然と命を救う仕事をしたいという夢を持っていたが、以前にも増して、命の重みを考えるようになり、看護師の道に進んだ。 また、昨年には母となり、 「8月6日のあの日、息子と同じくらいの子供もたくさん亡くなり、子供を亡くした母親も大勢いたのでしょうね」 と、あどけない旺浬ちゃん(1歳)の顔を見つめながら話す。 「今は平和な日本ですが、息子が成長する頃はどうなっているのでしょうか。あんな思いだけは、絶対にさせたくありません」  千尋さんは今、尊い命、守るべき命の存在を身近に感じながら、千羽鶴を折っている。 平和の尊さを次世代へ  3年前から、傾聴ボランティアとして高齢介護施設を訪問しているという洋子さん。 「お年寄りは、昔を振り返ることが多い。戦時中は空腹で辛かった、学童疎開で親と離れて寂しかったと涙を流して話しますよ」  平穏に生活できることが当たり前に感じる今だからこそ、この事実を強く受け止め、決して忘れてはいけないと自分に言い聞かせている。 「戦争体験者が少なくなっている中、戦争を知らない私たちが、常に平和を意識して、親から子、子から孫へと、その尊さを伝えていかなくてはいけません」  貴重な体験を風化させないよう語り継いでいくとともに、今後も千羽鶴を通じて平和への思いをつなげていきたいと力強く話す。  洋子さんや千尋さんをはじめ、さまざまな人が祈りを込めて、市に寄せた約1万7千羽の折り鶴。今年で20回目となる親子ひろしま訪問団の手に託され、8月6日、広島の空にささげられることだろう。 問い合わせ 市民自治振興課☎(82)5118 千羽鶴に祈りをささげた川口さん親子 懐かしそうに当時を振り返る洋子さん ▲第1回親子ひろしま訪問団(左から2番目が洋子さん、右から3番目が千尋さん) 旺浬ちゃんを優しく見つめる千尋さん 折り鶴ブースに囲まれた原爆の子の像 折り鶴ブース内には平和のメッセージが書かれた千羽鶴が並ぶ 平和の日子供映画会 とき 8月9日(土) 午前10時~10時45分 午後3時半~4時15分 内容 「太陽をなくした日」・「一つの花」(アニメ) 定員 各回80人(当日先着順) 問い合わせ 図書館☎(81)7012 秦野市平和の日事業 平和パネル展 とき 8月15日(金)~17日(日) 午前10時~午後5時(16日(土)は午後9時まで) ところ 文化会館 内容 広島・長崎原爆被害パネルの展示、劣化ウラン弾被害パネルの展示、平和アニメの上映、被爆体験談CDを聴くコーナーほか ピースキャンドルナイト とき 8月16日(土) 午後5時半~8時半 ※雨天のときは17日 ところ 文化会館 内容 ▽ピースキャンドル平和行進(午後5時半中央運動公園~6時文化会館) ▽ピースキャンドル点灯式(午後6時) ※サテライト会場として鶴巻温泉弘法の里湯でも点灯します(10日(日)までキャンドルの絵付けコーナーあり) 幻想的な灯りに包まれる 平和の日のつどいコンサート とき 8月16日(土) 午後6時20分~8時半 ※雨天のときは17日 ところ 文化会館 内容 歌や踊り、楽器演奏ほか ※いずれも入場自由 問い合わせ 市民自治振興課☎(82)5118 権現山山頂に立つ 平和塔・平和の礎 新しくなった平和塔  戦争の悲惨さと平和の尊さを語り継ぐため、昭和27年に権現山山頂に建てられた「平和塔・平和の礎」。老朽化が進み、汚れや傷みが目立っていたため、昨年12月に改修し、以前よりも分かりやすい場所に移設しました。平和の礎には、日清・日露戦争以降の戦争で亡くなられた、秦野にゆかりのある約360人の名前が刻まれています。  また、市内各所にある忠魂碑の維持管理についても、今後検討していきます。 問い合わせ 地域福祉課☎(82)7392