大根地区
極楽寺
(ごくらくじ)
 極楽寺は、平塚市の天徳寺10世により1607年<慶長12>に開かれた。1648年<慶安元>に徳川家光から寺領7石の朱印を受けている。この寺には、1979年<昭和>54>秦野市重要文化財に指定された十一面観音像が安置されている。像高は105cmで、ヒノキの寄木造りである。左腕はひじを曲げて花びんを持ち、右腕はまっすぐに降ろしている。平安時代後期の作で、この頃の寄木造りによる仏像は県内でも数少ない。丸い顔に豊かなほお、衣は浅い彫りによって、藤原時代らしい温かさを自然と表現している。安産、子育ての観音としても、古くから信仰されてきた。この十一面観音像は、昔、石座神社の下の観音堂にあったものを極楽寺に移して安置したという。 1796年<寛政8>3月に村人たちによって、この観音堂が建造された記録がある。また、極楽寺の墓域には、鶴巻と平塚市真田に広がる水田地域の耕地整理事業に尽力した第12・14代大根村村長岩田俊平(しゅんぺい)の墓碑もある。