東地区
善波峠
 善波峠は秦野市と伊勢原市の境にあり、矢倉沢往還(おうかん)が通っていた。矢倉沢往還は、東京都港区の赤坂御門から川崎、厚木、伊勢原を経て秦野に入り、曽屋、千村を経て矢倉沢の関所を越え、静岡県沼津市に至る道のことである。参勤交代でにぎわう東海道の脇街道であり、物資の輸送や富士・大山への参詣(さんけい)路として多くの人に利用された。切り通しには6基の石仏がある。その中に、1802年<享和2>の聖徳太子塔がある。聖徳太子像が刻まれた石塔は市内でもめずらしい。昭和初期に善波隧道が完成するまで、この峠(みち)が利用されていた。