●8月1日号3面 3 平成27年(2015年)8月1日 広報はだの 戦後70年 平和をいつまでも  戦争が終わって70年。その記憶を風化させないよう、光と樹木で平和の尊さを伝える人がいる。 経験してこその思い  「キャンドル一つ一つに、みんなで灯をともしていく。なかなか付かなかったり、付いては消えたりして、やっと付くと、小さな炎が揺れる。はかないね」  光が輝く瞬間を思い返すのは、石井曻さん(渋沢上・75歳)。平成20年に始まったピースキャンドルナイトの実行委員長を、ずっと務めている。現在は、市遺族会の会長でもあり、県西部地区の代表としても、遺族会の事業の運営などに協力している。  ピースキャンドルナイトは、広島平和記念公園から採火した「平和の灯」を種火に使い、手作りのペットボトルのキャンドルに灯をともす平和の日事業。参加している石井さんは、貴重な戦争の経験者だ。  「先頭から1機、2機、4機と続いていたかな。それで1つの編隊を組んで、次から次へと上空を飛んでいったよ。東京や横浜の空襲へ向かったんだろう。平塚方面が空襲に遭って、真っ赤に染まった夜もあった」  表情を曇らせながら、石井さんは戦時を振り返る。当時はまだ幼かったが、その光景が忘れられないという。  戦争で父親を失い、母親と助け合う毎日。家業の農業を手伝い、日々の生活で手いっぱいだったという石井さん。  「東京の子らは食べ物に困ったそう。私は、豊かではないものの食べることはできた。でも、学校に行くことができず悔しかった」  通信教育で農業を勉強して大学を卒業。現在は造園業を営み、県内の市町村を中心に、樹木医として樹木の診断や治療などを行っている。 平和を守り続ける  戦後70年を迎え、市では平和を祈念して、8月15日の平和の日に、戦争で被爆したアオギリとクスノキの2世を植樹する。今年2月に広島からアオギリ、長崎からクスノキが送られ、石井さんに託された。  「最初は15㌢くらいだったかな。今では3倍くらいに伸びたね。戦争の苦しさを忘れないように、心を込めて植えてほしい」  国民の8割が戦争を経験していないという現在。石井さんは、より多くの人が平和の尊さを考えることを願う。  「ピースキャンドルナイトは、キャンドルを作ったり、当日のサポートをしたり、さまざまな形で参加できる。親の実家が秦野で、毎年楽しみに来る子がいてね、作文に書いて、学校でみんなに読んだと聞いて嬉しかった。植樹では、貴重な2本に平和への思いを込めてくれれば」  戦後70年を迎える今年は、アオギリとクスノキの植樹で戦争の記憶を後世に伝える。キャンドルの灯が真夏の夜に輝く8月15日、あなたも平和に思いを寄せてはどうだろうか。 キャンドルの光が平和を象徴 被爆クスノキ(左)とアオギリを育てた石井さん 秦野市 平和都市宣言  私たち秦野市民は、平和への限りない願いをこめて「平和を愛する市民のまち、それは私たちの誇りです。」と市民憲章に定めた。  私たちの責務は、この精神にのっとり永遠の平和を希求し、愛する郷土を守り次代へ引き継いでいくことである。  しかし、武力紛争は世界各地で絶え間なく続き、際限のない軍備拡大と核兵器の増強は、人類の生存に深刻な脅威を与えている。  世界の恒久平和は、すべての人々の切なる願いである。私たち秦野市民は、国際平和年に当たり非核三原則を堅持するとともに、永久の平和とあらゆる国のあらゆる核兵器の廃絶を願い、ここに「平和都市」を宣言する。 昭和61年3月27日制定 秦野市 平和の日  私たち秦野市民は、永遠の平和を希求し、愛する郷土を守り引き継いでいく精神をうたった秦野市民憲章と秦野市平和都市宣言の理念の下に、一人ひとりがそれぞれの信条や立場を越えて、平和についてともに考え、語り合うことにより、平和への願いを未来に向け継承していくため、ここに「秦野市平和の日」を制定します。 秦野市平和の日 毎年8月15日 平成20年6月9日制定 戦没者の冥福と恒久平和を願い 一分間の黙祷を 広島平和記念日 8月6日(木) 午前8時15分 長崎原爆の日 8月9日(日) 午前11時2分 終戦記念日 8月15日(土) 正午 秦野市平和の日事業 戦後70年 映画の上映・植樹式 とき 8月15日(土) 午前9時15分~午後0時半 ※雨天のときは16日(日) ところ 文化会館(植樹はカルチャーパーク) 内容 映画「アオギリにたくして」の上映、被爆したアオギリとクスノキの2世の植樹式 ピースキャンドルナイト とき 8月15日 午後5時半~8時半 ※雨天のときは16日 ところ 文化会館 内容 ◇ピースキャンドル平和行進(午後5時半カルチャーパーク~6時文化会館) ◇ピースキャンドル点灯式、With you ありがとうリレーコンサート(午後6時) ※サテライト会場の鶴巻温泉弘法の里湯でも点灯します(14日(金)までキャンドルの絵付けコーナーあり) イベントサポーターを募集 対象 当日の午後2時半〜6時、午後5時半〜9時のいずれかまたは両方、文化会館の会場運営に協力できる中学生以上 申し込み 市民自治振興課へ電話 平和の日のつどいコンサート とき 8月15日 午後6時~8時半 ※雨天のときは16日 ところ 文化会館 内容 歌や踊り、楽器演奏など 平和パネル展 とき 8月14日~16日 午前10時~午後5時(15日は午後9時まで) ところ 文化会館 内容 広島・長崎原爆被害パネルの展示、劣化ウラン弾パネルの展示、平和アニメの上映、被爆体験のしゃべり場 ※いずれも入場自由 問い合わせ 市民自治振興課☎(82)5118 戦没者追悼平和祈念式典  戦没者の冥福と恒久の平和を祈って、開催します。  と き 8月7日(金) 午前11時~正午 ところ 文化会館 入場自由 戦没者名簿へ記名を  市内各所に建立している忠魂碑などを、市立きたなかはら公園(平沢232-1)へ移転・集約する事業に合わせ、新たに戦没者名簿を作成し、集約場所に納めます。記名を希望する方は、地域福祉課へ連絡してください。 対象 市内に本籍がある、または遺族が市内に在住している戦没者など 問い合わせ 地域福祉課☎(82)7392