広報はだの6/1号 3面 水道誕生から125年 思いを受け継ぐ  皆さんは秦野の水道がいつ、どのように誕生したのか知っていますか。「きれいな水がいつでもあふれるように」と試行錯誤しながら困難を乗り越えた人々の努力は、近代水道の草分けとなりました。 安全な飲み水を求めて  江戸時代末期の曽屋村(現在の本町地区の一部)では、用水路の水を食物や食器洗いに使うだけではなく、飲み水としても利用していました。しかし、水源近くではきれいな水も下流は生活排水や泥水などで汚れ、飲み水には適していません。明治12年8月には、用水路を介してコレラが発生。81人が発病し25人もの犠牲者を出しました。この惨事をきっかけに、安全な飲み水への改良が本格的に検討されました。曽屋村の人々は一致団結し、明治20年に改良の設計を県へ依頼。翌年には水道管の布設工事が始まりました。 全国初の陶管水道へ  「自分たちの水道は自分たちの手で」という決意のもと、工事に向け多くの人々が集結。中でも貢献したのは、質商のかたわら絵や陶器などを学んでいた梶山良助氏でした。当時の財政状況では水道管に鉄管を使うことが難しいと判断した梶山氏は、経験や知識を生かして、安価な愛知県常滑製の陶管を使うことを提案。村の水道工業委員として無報酬で住民を説得したばかりでなく、家財のほとんどを工事費に提供しました。  こうした努力が実り、明治23年3月15日、遂に秦野で初めての水道が完成。約800戸、4000人への給水が始まりました。  誕生した長さ約5㌔の曽屋区水道は、近代水道としては横浜、函館に次いで、全国で3番目。簡易陶管水道としては全国初の水道でした。  その後、陶管水道は大正12年9月の関東大震災で壊滅的な被害を受け、全て鋳鉄管に替えることになりました。しかし、陶管水道の誕生は、秦野水道の礎となり、その後の発展につながったことは間違いありません。 古き情熱を次世代へ  「バケツいっぱいにたまったよ」「冷たくて気持ちいいね」水をくむ子供たちの元気な声が聞こえてきます。  私たちの生活に欠かせない安全でおいしい水。蛇口をひねると当たり前のように流れてきますが、水道誕生の背景には、先人たちのたゆまぬ努力があったことを決して忘れてはいけません。  6月1日から7日までは水道週間。また今年は、水道誕生から125周年です。秦野の水道のためにひたむきに情熱を注いだ人々の思いを受け継ぎ、次世代へつなげていきましょう。 問い合わせ 水道業務課☎(83)2111 水道建設に尽力した梶山良助氏 誕生当時の曽屋区水道の貯水池 平成26年度 水道事業の概要        ◇給水人口(松田町湯の沢地区を含む) 16万8274人 ◇水道普及率 99.8% ◇給水戸数 7万5523戸 ◇有収水量 1901万4723立方メートル ◇水道管の耐震化率 20.9% ◇導水管などの基幹管路の耐震化率 29.5%  昨年度と比較して給水人口は658人減少し、料金算定の基となる有収水量(検針メーターの量)も、約55万立方メートルの減少となりました。 経営の状況 ※収益的収支は税抜き、資本的収支は税込み 区   分 平成26年度 平成25年度 増 減 収益的収入 24億9609万円 23億4904万円 +1億4705万円 収益的支出 25億1789万円 23億387万円 +2億1402万円 純損益 −2180万円 4517万円 −6697万円 資本的収入 2億9829万円 3億3282万円 −3453万円 資本的支出 11億2799万円 10億9422万円 +3377万円  企業として経営状況を明らかにするため、会計を収益的収支(水道事業を運営するための収入と支出)と資本的収支(水道施設の整備・拡張のための収入と支出)の2つに分けています。収益的収支は、会計制度の見直しにより、収入と支出は前年度と比べそれぞれ増となりました。  純損益は主に有収水量の大幅な減少による水道料金の収入減で、約6697万円の減となっています。 建設改良事業の状況            施設整備計画に伴い、次の工事を行いました。 ◇基幹管路である導水管などの耐震化 約1000メートル ◇配水管の耐震化 約2500メートル ◇耐震管の新たな布設 約700メートル ◇非常用飲料水貯水槽緊急遮断弁の設置、遠方監視制御盤の更新など 問い合わせ 水道業務課☎(83)2111 水質検査の結果 全て基準値以下  市では、市内全30カ所の配水場で水質検査を定期的に実施しています。  昨年度の検査でも、カドミウム、水銀など全ての水質基準項目が基準値以下の安全な数値でした。詳しくは、市ホームページに掲載しています。 問い合わせ 水道施設課☎(83)2113 災害時のために 水の備えを  地震などの災害時には、給水車を出動させたり備蓄しているペットボトルなどを配布したりしますが、水道施設の復旧に時間がかかり、市の備えだけでは十分に対応できないこともあります。皆さんの家庭や地域でも日頃から備えておきましょう。 ◇清潔なポリ容器などに水を入れて保管し、定期的に入れ替えましょう。空気に触れないようにして直射日光を避ければ、3日程度は飲料水として使えます。 ◇風呂の残り湯などをためておきましょう。トイレや洗濯などの生活用水として使えます。 ◇ペットボトルなどの飲料水を買っておきましょう。市でも「おいしい秦野の水・丹沢の雫」を販売しています。 ※販売店は市ホームページに掲載 問い合わせ 水道業務課☎(83)2111 もしものときのホームドクターを 給水管のトラブル  給水管は、個人の所有物です。老朽化した給水管は破裂する危険がありますので、新しいステレンス管などに取り替えましょう。また、冬の凍結などに備えて、水道の補修を頼める業者を探しておきましょう。市指定給水装置工事事業者は、市ホームページに掲載しています。 問い合わせ 水道施設課☎(83)2113