新春対談 自然に包まれたまち 秦野の魅力  本市在住の映画監督・山田大樹氏を迎え、古谷義幸市長と新春対談を行いました。松下雅雄市観光協会会長の進行のもと、監督に映画への思いや秦野の魅力などを語っていただきました。 山田監督がテレビドラマの撮影をした里山風景(柳川) 古谷市長「秦野は撮影スポットの宝庫」 古谷市長 松下会長 山田監督「まちが自然の中に溶け込んでいる」 親子の絆とまちづくりの映画 松下 明けましておめでとうございます。早速、山田監督にお聞きしますが、昨年公開された映画「じんじん」を撮るとき、一番大事にしたのはどんなことですか。 山田 いつも、人と人のつながりや人間ドラマを撮りたいと思っています。「じんじん」は、俳優の大地康雄さんが北海道剣淵町の実話を基に企画した作品ですが、主人公は離婚して娘と離れて暮らしている中年男性なんです。そんな現代らしい親子関係やその絆が、丁寧に描かれていることに心を引かれて撮りました。 古谷 この映画を初めて拝見したとき、ぜひ市民の皆さんにも見てほしいという思いを抱きました。それは、絵本を通じた人のつながりが広がって、剣淵町の人々が一体感を持って楽しくまちづくりをしていく様子が描かれているからです。 松下 昨年十一月に、文化会館で上映会を開催しました。千人を超える方が集まり、みんな感動していた様子でした。 山田 同じまちに暮らすたくさんの皆さんに、自分の作品を見てもらえてとても光栄です。どうもありがとうございました。 古谷 映画の素晴らしさを再確認できた、とても良い機会でした。全国各地からの要望に応じて地域上映会を行っていく公開形式も、この映画に合っていると思います。 自然の豊かさが大きな魅力 松下 山田監督は、秦野に住み始めてから六年目になるそうですが、秦野の住み心地はいかがですか。 山田 以前は海が近い葉山町に住んでいましたが、今度は山に抱かれながら暮らそうと考えて、引っ越してきました。空気も水もおいしくて満足しています。秦野は、自然が豊富なだけではなく、まちが自然の中に溶け込んでいる感じが素敵ですね。 古谷 私も、いい意味で田舎っぽさが残るまちが理想だと考えています。緑でいっぱいのまちは、人々に潤いを与え、憩いの場になってくれます。秦野は、丹沢の山々から水無川をはじめとする河川、各家庭の庭先まで、暮らしの中に豊かな緑がありますね。 山田 豊かな里山に囲まれている環境は、最高ですね。あちこち散策しながら、日々、自然に包まれた環境の良さを実感しています。 松下 監督には、何度か秦野でロケ撮影を行っていただいていますね。 山田 四季折々の自然の姿や美しい街並みなど、さまざまなシーンを撮影できるので、重宝します。東京から近いところも魅力です。 松下 観光協会が行っているフィルムコミッション事業では、たくさんの撮影依頼をいただいています。やはり、撮影スポットの多さと交通の利便性が好評ですよ。 古谷 撮影現場を見学させていただいたときは、スタッフやエキストラなど、思った以上にたくさんの方がいらっしゃっていて、驚きました。経済効果も期待できますし、人々の交流も生まれます。何より、なじみのある風景がテレビに映ることで、まちが元気になりますね。 山田 撮る側としては、市内に広い撮影スタジオが欲しいくらいです。今年も、秦野でドラマを撮影する予定があるので、ぜひご協力をお願いします。 思いが伝わる作品づくりを 松下 山田監督の今年の抱負を教えてください。 山田 以前から映画にしたいと温めていた企画を絞り込んで、自分の思いを観客に伝えられるような映画を撮っていきたいです。 古谷 監督にはぜひ、秦野を舞台にした映画を撮ってもらいたいです。ふるさとの美しい風景をたくさん取り入れてもらい、それを見た市民の皆さんが、わがまちに愛着や誇りを持つようになったり、自分のふるさとを自慢できるようになったりすると、素敵だと思うんです。 山田 自然にあふれた秦野の風景を盛り込みながら、このまちで暮らしている人々ならではの人間模様を描いていく形がいいかもしれませんね。 古谷 丹沢の山々や桜の名所など、秦野は撮影スポットの宝庫だと思います。市内の隅々を巡っていただいて、秦野ならではの風景をカメラに収めていってほしいですね。 松下 監督には今年もさらなる活躍を期待しています。秦野を舞台にした映画も、実現できたら素晴らしいですね。本日はどうもありがとうございました。 山田 大樹さん プロフィール  昭和31年、鹿児島県生まれ。映画監督。代表作は「湘南爆走族」(昭和62年)、「七人のおたく」(平成3年)。テレビのサスペンスドラマも数多く手がけており、船越英一郎さん主演の「捜し屋☆諸星光介が走る!」シリーズでは、たびたび秦野でロケ撮影を行っている。 映画「じんじん」  大地康雄さん演じる大道芸人の銀三郎が、北海道の大自然やそこに暮らす人々との交流から、絵本の力や親子の絆を見出していく物語。昨年7月から劇場で公開されたほか、全国各地のホールや公共施設で上映会を開催していく「スローシネマ」形式で、現在も公開中。昨年のインド国際映画祭正式招待作品。 市民に撮影場所を提供してもらうことも